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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第25話 胡蝶の夢、その続き
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ス。別に実演をしてもらわなくても、並び立てばだいぶそっくりなので十分な証明になる。

「……ちょっと待った。2人、なんで登場に時間差があったの?」

「んーとね……あたしが髪のセットに時間かかったから、先行っててー、って。それだけよ、それだけ」

「あ、そうなの」

 なんとなく変に念を押されている気がしたが、別に何の問題もなかった。他人には知られたくない事情というものは誰しもが持っているものだとエースは思っていたからだ。触れずにおいておく。

 そうしているうちに、一行はいつの間にか教室のある階まで上がってきていた。

「あ、あたしとフローラの教室はこっちだから、またねー」

「またね」

「またなー」

 階段を上り切ってすぐの、教室にたどり着く前の最後の分かれ道。そこでセレシア・フローラの姉妹と別れて、エースは自分の教室に向かった。

 もっとも外側にある教室の、一番廊下側の列の最後尾にあるの座席がエースのいつも座る場所。これまたいつものようにそこに着いて座席に座り、机の中に荷物を入れていく。

 そうとしていると、途中で何かが引っかかった感覚があり、エースは荷物を床に置いて机の中に手を突っ込んだ。

「……ん、なんだこれ?」

 引っかかったそれを取り出すと、それは便箋だった。丁寧に封がされたその中身を開けると、入っていたのは二つ折りにされた手紙だった。

 エースはそれを開いて、中に書かれているものを読んだ。

『今日のお昼に、屋上に来てもらえませんか? フローラ・スプリンコート』

 丁寧な字で書かれた手紙を最後まで読み終わった時、エースの心には、正とも負とも言い切れない感情のモヤモヤが出来上がっていた。






* * * * * * *






 そしてやってきた昼の時間。階段を1段昇る度に何故か重くなっていく足を動かして、エースは屋上へとたどりつくことが出来た。

 引き扉の向こう側に広がる屋上には、呼び出した本人──フローラ・スプリンコートが一人で立っていた。

「ごめんなさい。お昼に呼び出して」

「いや、大丈夫。俺もスプリンコートさんに聞きたいことがあったから。すごく些細だけど」

「あ、だったら、お先にどうぞ。私のは、後回しでも全然大丈夫だから」

 そういうフローラの顔には、どこかためらっているような印象が見受けられた。それを見たエースは、今朝の勘は当たりに近いように思ったが、それでも表情は変えることなく言葉に甘えて先に聞くことにした。

「ホントに些細な質問だし、これ変な質問なんだけど……聞いて笑ったりとかはなしで頼む」

「うん、大丈夫だよ」

 微笑みながらうなずくフローラの姿に、エースは一切の
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