暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第24話 続き得た未来の可能性
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とくらいだ。声を聞いて、エースは思わずその場に立ち止まってしまった。

「どうしたのエース。ぼーっとして」

「ああ、いや……なんでもない」

 母親が家で出迎えてくれるということが、何故だか新鮮味を感じる。当たり前の光景に、ありがたみも感じる。しまいには涙すら出てきそうになるのをこらえて、部屋の中へと入った。

「で、今日の学校はどうだった?」

「どうだった……って言われてもなぁ。別に何もなかったよ」

「ガールフレンドとも何もなかったの?」

「ガールフレンド……って違うよ。スプリンコートさんはそんなんじゃないって」

 言っておいて、エースは思わずハッとしてしまった。母親はガールフレンドが誰か、ということに関しては詳しく言っていないことに気づいたからだ。自らの失言にやらかしたという想いでいっぱいになる中、そんな息子の心の内を知らない母親が追撃の如く聞き返してくる。

「ん、スプリンコートさん……って誰の事?」

「母さんによく似た声の、リボンカチューシャをしてるクリーム色の髪した女の子だって。見たことないっけ」

 聞き返されてはもう無理だと、エースは半ば諦めムードで答えを返していた。母親は少し思案した後、思い出したのか手をポンと叩いた。

「えーと……ああ、そんな子いたわね。可愛らしい女の子だったけど……あの子がガールフレンドなのね。前に行った時に親しくしてたし、てっきりプラントリナさんの方かと……」

「だからそんなんじゃないっての。てかその2人を見間違えるって……」

「よく似てるものね。双子かと思っちゃうくらい」

「双子……って、それ、絶対に人前で言うなよ」

「あら、なんで? 何の問題もないでしょ?」

「え……」

 その言葉に、エースは絶句した。

 双子が忌み嫌う世界に溶け込めるように隠し、それで生じる苦労とは、一体何のためにあったのか。

 そんなことを考えておいてから、エースはそれが夢の中のことであったことに気づいた。長く濃い夢を見過ぎたせいで、どうやら考え方まで感化されてしまっていたらしい。

「そうだよな。ちょっと明日聞いてみる。俺とミストみたいな感じかもしれないからな」

「ミストくんね……。エースとすごくそっくりよね。それこそ双子なんじゃないかと思うくらいに」

「ホントそうだな。でも世の中には似ている奴が3人はいるって話だから、案外あり得る話かもよ?」

 そんな感化された自分の考えをねじ曲げるように、エースは母親に同調する。何かが軋む感覚は無視して、さらには強引に話題を変えて、その会話を続けていた。

「で、今日のご飯は?」

「オムライスよ。あなた好きでしょ?」

「うん。あ、あと父さんは?」

「お父さ
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