暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第24話 続き得た未来の可能性
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「なるほど、ちょっと見せて」
エースは自分の参考書を開いて、該当箇所をミストに見せた。一通り眺めたあとに、ミストの口からその答えが出てくるのに時間はかからなかった。
「この故事成語、『胡蝶の夢』って奴だね」
「胡蝶の夢……っていうとなんだっけ。聞いたことあるような気がする」
「どこかの国の古い言い伝えでね、ある人が蝶になってひらひら飛んでる夢を見て目覚めたんだけど、今の自分が蝶の見た夢なのか、蝶が自分の見た夢なのかどっちなんだろうって迷ったってお話だよ」
「へー……」
「ちなみにこの話、1週間前にされたばかり」
「へ、へー……」
ほとんど間を置かずに意味の違う同じ言葉を言うことになるエース。視線を泳がせて、なんのことかな、とでもいうようなバレバレのとぼけ方をする。
「じゃ、じゃあ、さっき俺が見た夢の中の俺がホントで、俺が夢かもしれないってこと?」
「古い言い伝えだから、そこまで気にしなくてもいいと思うんだけど。疑うなら今頬を引っ張れば?」
「あ、そっか」
ミストに言われるがままに、エースは自分のほっぺたを軽く引っ張ってみた。伸ばされた皮膚に引っ張られた筋肉が、エースに痛みを訴えていることがすぐに分かる。
「どうやら夢じゃないっぽい」
「よかったね。聞いた感じ夢の中の君は、試験勉強なんてしてる場合じゃないくらい苦労してそうだし?」
「ああ。あ、教えてくれてありがとな。助かった」
「別に来てもいいけど、他の頼り口を探しておきなよ」
「りょーかい」
何故か今この場から逃げ出したくなったエースは、使った参考書をもう一度カバンに収めてから教室を離れた。その背後では、ミストが他の生徒に何かを聞かれているのか、再び会話の声がしていた。
「なんかスッキリしないな……」
それは、分からない問題に対してのものではない。解答を聞いているうちに心の中に居座り始めたモヤモヤを意識し始めたことで漏れたものである。何故モヤモヤし始めたのか、どうすれば晴らすことが出来るのか、それらが一切分からないエースには、帰宅の途につく以外の選択肢はなかった。
* * * * * * *
家の位置は、先ほど夢で見た森の中にある道を抜けた、通りから少し離れた場所。帰り道の途中、夢の中の自分がいたであろう方向を少しだけ見つめて、それから黒塗りの自宅へと戻ってきた。
「ただいまー」
いつものように玄関から中に入り、リビングまでの道をたどる。ここもまた、夢の中と変わらない場所だった。
「お帰りなさいエース。今晩御飯作ってるから」
少し違うとすれば、キッチンで母親が料理を作っている光景がそこにあるこ
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