暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 終末は少年少女へ問う
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アジ=ダカーハ。彼の魔王の主催者権限は敵対者に対して何のルールも強制しない。そもそも主催者側の勝利条件すら存在していない。彼は人類がこのままでは避けることのできぬ滅びを、その中でも最悪の霊格を預かった存在。自らを打ち破る存在の誕生を渇望した魔王であり。そしてそれ以上に、そもそもの存在としてそのような手法を用いることなく最強を名乗れる暴虐であった。

ジャック・ザ・リッパー。イギリスの歴史に現れた、正体不明の殺人鬼。その正体は個人ではなく無数の子供たちであり、その名を冠したのは彼らを処刑した処刑人(エクスキューター)。聖人まで絡んだ複数回にわたる転生、そして繰り返された残虐。知らなければ解き明かすことは難しい霊格であるものの、その真実は既に解き明かされてしまっている。答えの分かった謎解きなんぞ、出すだけ無駄である。

「それで、最後の『鬼道一輝』の主催者権限だけど……使えるようになってたとしても私の主催者権限と同じで気軽に使えるものじゃないし、さすがのお兄さんも使わないはずだよ」
「あの一輝君に対してそんな希望的観測……というか、常識の部分が通用するとは思えないのだけど」
「そう言われるとそんな気もするけど、内容が内容だからね〜。よっぽどマジな、ガチで殺したい相手に対してそれしか手段がなければ使うかもしれないけど、そうじゃ無ければ使う可能性はないよ。さすがに、『人類史が滅ぶ』可能性がある以上、箱庭そのものが壊れる危険がある主催者権限だもの」

そこまでいったところで、何か面白いことでも思いついたのか。そもそもの話として世界を滅ぼす要因αの具現たる人類最終試練を全て滅ぼしたはずなのにこの状況と言う事実を噛み砕ききれていない三人をしり目に、ギフトカードから『ノストラダムスの大予言』と彼女が名付けた魔導書を取り出す。

「別に大して断る理由もなかったから無条件で『鬼道』の情報提供に協力するつもりだったけど、丁度いいや」

拍子をめくり、続けて1ページ1ページめくっていく。消えることのない焔の中でもがく少女。蛾の羽を保有し飛行する人間。終末を告げるラッパ吹き。人々を滅ぼす竜。無人の豪華客船。程度の差こそあれ、終末や滅びを示す物語たちが描かれたページを繰っていき、やがて白紙のページへとたどり着く。魔導書の向きを変え、白紙のページを十六夜たちの方へ向け、

「お兄さんの同類、人類封鎖試練(コラプス・エンブリオ)として。鬼道一輝を連れ戻そうという、従えようというその言葉の意味を……テストさせてもらおうかな」

瞬間、“ノーネーム”本拠の一室が光に満たされた。

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