Knight's & Magic & Carrier 6
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トールがこちらに視線を向けて何かを考え込み、やっとのことで言葉を絞り出す。
「……エレオノーラか?」
「トール?」
「すまん、記憶が混濁している。変な感覚だ」
「2ヶ月も意識がなかったんです。今は、ゆっくりしてください」
「すまんがそうさせてもらおう。体がまともに動かない」
そう言うと、再び倒れて寝始めたトールを見て一安心する。良かった、気づかれていないようだ。イサドラと一緒に色々とトールの息子にイタズラをしていたから違和感を持たれたらどうしようかと思っていたのだけど。このまま内緒にしておきましょう。
「あ〜、やっと最低基準かよ!!やってられねぇー!!」
地面に転がりながら呼吸を整える。意識が戻ってから2週間が立つ今、リハビリと猛訓練でようやく騎士として最低限のレベルにまで肉体が戻ってきたところだ。記憶の方はエピソード記憶の8割が死んだ。人の名前はかろうじて覚えているのが救いだろう。
視界にファットアンクルが入ってくる。フレメヴィーラからの帰りだろう。エルネスティ達はオレを置いていったらしいが、記憶が飛んでる以上変な気遣いをされずに済んだ分ラッキーとでも思っておこう。
「トール、ここにいたのですか」
「イサドラか、どうした?」
「フレメヴィーラの先王様より通信の先触れが来ています。あと5分ほどで通信に出てほしいと」
ここから通信設備まではゆっくり歩いても3分ほどの距離だ。身だしなみを整えるには十分だ。起き上がって騎士服の汚れを簡単に払って身だしなみを整える。簡単に汚れが落ちるから騎士服は楽でいい。
『トルティオネス、息災にしておるか』
「体の方はそこそこ回復してきましたが、記憶の方がやられました。思い出に値するものの大半を失った状態です。回復の見込みもありません」
『ふむ、思い出か。それはトラウマも含めてか?』
トラウマ?
「特に心当たりが無い以上、トラウマも含まれていると思います。何か問題が?」
『いや、こちらの話だ。それとエルネスティからの提案を聞いた。こちらで幻晶騎士を、そちらで飛行船の開発をメインに行うと』
「え〜、そこらへんも記憶が飛んでいるのですが、おそらく開発が一杯一杯でリソースが中途半端になっていたのだと思います。エルネスティの夢は幻晶騎士、オレの夢は飛行船が叶えてくれる物で。無論、技術交流は行いますし、フレメヴィーラの方を優先して艦を作る予定です」
『その分、復興支援を滞らせるなと言いたいのであろう。既に現場から改良案が上がってきておる。それに合わせた物を製造せよ。無論、それに見合う対価は払う。また、お主をそちらに置いておく正当性のある身分と肩書を用意しておく』
「御意」
こ
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