「わたしは、わたしです」
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存在していることに気づく。
「……ごきげんよう。わたしはプレミアと申します。どちら様ですか?」
『これはご丁寧にどうも。私は……そうだな。ただの案内人だよ』
「案内人、ですか?」
『ああ。見てみたまえ』
その案内人と名乗った彼に、不思議とプレミアは懐かしい気持ちを覚えながら。彼が示したものを目で追っていけば、それらはやはりこの空間からの無数の出口を示しているようで。
『ここからはどんな世界にでも行ける。君は自由に、幾つもの世界を渡ることが出来るだろう』
「……どれだけの世界を渡れば、わたしの『自分探し』は終わるでしょうか」
『残念ながらそれは、私には分からないな』
「……申し訳ありません」
どうやら空間に広がる無数の出口は、それぞれが新たな世界への出入り口とのことで。全てがプレミアのいた《ALO》のような世界に繋がっているとなれば、思わず気が遠くなってしまったのか、プレミアはそんな弱音をこぼしてしまう。もちろん、そんなことが初対面の案内人に分かるわけもなく、謝って気を取り直しつつ。
「これが『ナイスな展開じゃないか』、というものですね」
『…………』
「どうかしましたか?」
『……いや、なんでもないさ。では、君の旅が上手くいくよう祈っているよ、プレミア』
プレミアの言葉の何が琴線に触れたかは彼女に知るよしもないが、案内人がはじめて苦笑なのか驚きなのか、そんな懐かしげな感情を発露させた。とはいえそれも一瞬のことで、その言葉を最後に案内人もどこかに消えていってしまう。彼もまた、どこかに旅を続けているのだろうと、プレミアはペコリと頭を下げて。
「出来れば、ご飯が美味しいところだと助かります」
そうしてプレミアもまた、新たな世界へと踏み出していった。
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