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SAO−銀ノ月−
「わたしは、わたしです」
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気を、お前が言うなと言わんばかりの正論で押し止めたおかげか、リズからの抗議は小さめの一撃で済んだようだ。今のところ邪魔する者は何もないとはいえ、ユイはプレミアを連れ小走りでコンソールに向かっていく。

「なあ、言いたくはないけど……大丈夫か? プレミア、またあんな風にならないよな……」

「大丈夫です、ガーネット。わたしはもう、改めてわたしですから」

「そっか! なら大丈夫だな!」

 しかしてカーディナルにアクセスしてしまえば、また先のクエストが始まってしまうのではないかと危惧したものの。どう通じあったのかはともかく、ガーネットとプレミアが言うには大丈夫ということらしい。もはや設定を持たないNPCではなく、プレミアという一人の人間だからか。

「ショウキ、リズ。二人がわたしを拾ってくれなければ、わたしはわたしになれませんでした」

「な、なーに今生の別れみたいに言ってんの! やめなさい!」

 そしてユイと手伝い始めたキリトの方を見る限り、コンソールの方には特に問題はないようだ。そうしてプレミアは、リズが作ったアカウントを利用してザ・シードのクラウド上へその保存先を移し、ザ・シード世界で生きていくことになる。とはいえそれが上手くいくかは分からない上に、なんにせよしばらくはこの《ALO》には帰ってこれないだろう。

「またちょっとしたら会えるわよ。だからまあ、ちょっとした冒険に行くくらいのつもりでいなさい」

「なるほど。確かに、ショウキの『じぶんさがし』というのを聞く約束もあります」

 そういったことはプレミア自身も察しがついており、今までのお礼を言おうとしたところを、リズに激励とともに止められる。いつの間にやら約束されていたショウキの自分探しとやらも、そんな約束程度でプレミアの無事が確約されるならいいことだと、ショウキは苦笑して受け入れながら。

「……プレミア。準備ができました」

「ありがとうございます、ユイ。お願いします」

 そうしてリズのおかげで、別れだというのに湿っぽい雰囲気にはならないまま――

「わたしも『自分探し』にいってきます」

 ――プレミアは、この世界から消え去った。


「ここは……」

 そうしてプレミアが次に目覚めた時には、今まで見たこともない空間が広がっていた。上下左右の感覚どころか、自分の形すらどうなっているのか危うく、気を抜けば存在すらこの空間と一体化してしまいそうな感覚に陥ってしまう。

「わたしは、わたしです」

 ただプレミアはプレミアという存在だと、先程の戦いでようやく再確認できた自己を確立することで、どうにかその空間に適応する。そうしてから改めて見てみれば、辺りには無数の出口が広がっているとともに――隣に、プレミア以外の誰かが
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