「自分で行きます」
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、どうなってんのよ……!」
「ユイ!」
「……今のプレミアは、クエストに操られています!」
手っ取り早く説明しろとばかりに叫んだ言葉に、ユイは端的にプレミアの状態を返す。それは、薬草を求めるクエストでNPCがこの世界にはないはずの病気で寝込むように。仲間たちを失いながらも独りで戦う竜人ギルバートのように。クエストのためにNPCが操られる状態、というのは程度の差はあれ珍しいものではない。
そしてショウキたちに突きつけられたクエストの名は、《聖大樹の巫女》。恐らく世界を壊す力を持ったプレミアに気づいたのは、現実の運営だけでなくカーディナルも同様だったのだろう。そうしてクエストの設定がなされていないプレミアをバグと断じたのか、世界を壊す力を加味したクエストを与えたのだ。
――すなわち、プレミアが世界を壊す前に、彼女を止められるか。ショウキたちに与えられたクエストは、プレミアだったNPCを殺すことだ。
「……リズ、ガーネットを頼む。ガーネットは魔法の準備を」
「いや、でも――」
それ以上の説得はリズに任せて、ショウキはプレミアの前に立ちはだかる。いつでも武器を取り出せるよう、OSS《サウザンド・レイン》を発生させる文言を呟くと、プレミアだったNPCはなんの感情もなくショウキの方を向いた。
「ショウキ。どいてください」
「断る」
「そうですか。ですが、わたしは壊さなくてはなりませんので」
その返答をキーワードにしたかのように、プレミアだったNPCの表示が敵性のものと変わる。ふわりと浮いた身体を守るように透明な球体が出現し、まるで少女を守る卵の殻のようだ。さらに外敵を排除せんと次々と武具が出現、飛来し、ボスとしての名前が示される。
《Pray The Origin Medium》――原初の祈りの媒体。それがこの世界を壊さんと襲いかかった、かつての世界に住んでいた者たち、その代表たるボスの名前だった。
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