暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
「自分で行きます」
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ネットは何かに気づいたように口を開いた……ものの、今は聞くことではないと引っ込めてくれて。それに感謝するとともに、前を歩いていた斥候担当のアルゴたちから合図が届く。

「……もう最深部ダ」

「…………」

 先導していた三人に話を聞けば、やはりというべき内容が発せられた。グウェンとルクスの地図とアルゴの先導のおかげで、今までは特にトラブルもなく来れたものの、コンソールがある部屋はそうはいくまいと。かつて来たことのあるらしいキリトを横目で見れば、ボスがいると示すように重苦しく頷いて。

「……行こう」

 それ故かキリトがまずは歩きだし、最深の部屋へと突入していく。そこはただ空間が広がっている、まるで家具が設置される前の空き家のようだったが、奥にポツンと石碑らしきものが置かれていることに気づく。十中八九、あれが緊急用のコンソールであり、あれにプレミアとユイを連れていけばこの件は終わる。

 ただしその石碑の存在に気づくとともに、広大な空間に一筋の影が発生する。その影はマントの形をかたどっていき、まるで中身があるかのように中空へ浮き出した。さらに影は腕と鎌を造り出していき、ショウキたちの前に影で造られた死神として現出する。ゆっくりと鎌を振り上げた死神に、キリトは即座に二刀を炸裂させた。

「……前のようにはいかない!」

「プレミア、今のうちだ」

「はい」

 キリトの加勢――といきたいところだったが、今回の目的はあの死神の打倒ではない。それは共に走り出したアスナとキズメルに任せ、ショウキはプレミアを先導して死神を迂回しつつコンソールに向かう。ユイはプレミアの肩に乗っているため、あとは二人を連れていくだけでいいのだから。

「っ……!」

「キリトくん!」

 しかして死神の一撃にキリトの身体が大きく吹き飛ぶとともに、ヘイトを集めていたはずのキリトから、どうしてか死神はショウキたちを向く。ショウキたちと別れてキリトの回復に向かうアルゴのことをスルーしながらも、コンソールに近づく者を優先して狙うルーチンとなっているのか、高速で動く死神はみるみるうちにプレミアへ迫る。

「私が防ぐ! 振り返らず行け!」

「任せる!」

 ただし死神の前に、ショウキについてきていたカイサラが立ちふさがるとともに、背後からアスナの鋭い刺突が炸裂した。そのままキズメルの連続攻撃に移行したようだが、ショウキが死神について見たのはここまでだ。とにかくプレミアを連れてコンソールへと走れば、先に着いていたらしいユイが準備を整えてくれていた。

「少々お待ちください! それまで……」

「……ああ」

 少女の姿に戻ったユイがコンソールを操作しており、ふと胸を撫で下ろすが、まだまだ終わっちゃいないとショウキは人知れず
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