「自分で行きます」
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ませんから、その……臨機応変にいきましょう!」
「アルゴ、こっちだとヒーラーだったのか?」
「んー? キー坊のくせに生意気だナ、顔と口ぶりがオレっちにヒーラーなんて似合わないって言ってるゾ」
い、いや、そんなことは――と図星を突かれたキリトの上ずった声がトドメとなり、もはや決戦などという雰囲気は雲散霧消してしまう。とはいえ、先にプレミアの重いダメージを軽く治してしまったことから、アルゴのヒーラーとしての腕前は疑いようもないが、似合わないというのは正直に思えばショウキも少々。口には出さないでおくが。
「情報屋殿が治癒のまじないの使い手とは知らなかったな。頼りにさせてもらおう」
「まあオレっちも覚えたての若葉マークだから、あんまりアテにされても困るけどナー」
「覚えたてということは、アルゴさんはわたしたちとのパーティプレイとのために、わざわざ回復魔法を覚えてくださったのですが?」
「ぬぐ……」
しかしてふと疑問を呈したユイの一言に、天下の鼠が言葉を詰まる。確かにパーティプレイとなると、攻略はともかく偵察や単独行動を重視したアルゴに、あまりボス戦においての役割はなく。それを簡単に貢献出来るようになるには、数の足りないヒーラーになるのが最も手早く役に立ち、わざわざ回復魔法を覚えてきてもおかしくない。
「アルゴさん? どうかなさいました?」
「いいぞユイ、帰ったらおこづかいをたらふく――」
「――そろそろ着くゾ!」
「……すまない、ショウキ。忘れていたことがある」
そうこう話している間に無事《黒鉄宮》に到着するとともに、アルゴが全身全霊で話題をそらす。この黒鉄宮の中に地下迷宮の入口はあり、かつての浮遊城でキリトたちとユイが別れることとなった場所だと、当時はその場に居合わせてはいなかったショウキが思い返していると、カイサラが思いついたように話しかけてきた。
「これを返すつもりだったのだが」
「これは……ありがとう」
「なに、見事な技だった礼だよ」
そうしてカイサラから皮肉たっぷりに渡されたのは、先の彼女との戦いで囮に使った愛刀、日本刀《銀ノ月》。握ってみればずしりと重く、やはりアバターを作り直した今のショウキでは、まだ十全に扱うことは出来そうにない。それでもカイサラに礼を言いつつ帯刀すると、黒鉄宮の前に設えられた記念碑に視線を送る。
「出来れば……力を貸してくれ」
「何か言ったか?」
「いや、なんでも」
黒鉄宮の前に設えられた記念碑は、各フロアボスを倒した者たちの名前が記されている。そこに仲間とともに刻まれた《絶剣》に、ショウキは小さく礼をしつつ頼みごとをした後に、パーティとともに揃って地下迷宮へと入っていった。
「久しぶり…
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