第6章:束の間の期間
第192話「現れた二人」
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りだ。では、こちらも忙しい身なので、ここらで通信を切らせてもらうよ』
そういって、ジェイルは通信を切る。
「(……ジェイルも、ジェイルなりにどうにかしているようだな)」
“忙しい”とジェイルが言った事から、優輝はそう推測する。
尤も、今はお互いの事で手一杯なため、すぐに思考を切り替えた。
「時空間の歪み……か」
〈規模では幽世との境界よりも大きい問題ですね〉
「ああ。まぁ、タイミングからして、どちらも同じ原因だろう」
境界が薄れる事は、言い換えれば空間の歪みとも言える。
そのため、境界に関しても時空間の歪みと同じだと考えられた。
「……問題は、地球を中心に特異点と化している事と、そこから従来の法則から乖離し始めている事だな」
〈法則の乖離……それによって境界も薄れていると?〉
「本来起きないはずの事象が発生し、起きるはずの事象が発生しない。……法則が変わっていると見てもおかしくないだろう」
ジェイルは“想定外の事ばかりが起きている”と言うつもりで、法則から外れ始めていると発言したが、優輝は別の意味で捉えていた。
解釈の違いでしかないのだが……優輝のその推測は間違いとも言い切れなかった。
「………」
〈マスター?〉
「少しばかり、頭の整理ついでに精神統一する。結局の所、今打てる手はないに等しい。なら、今できる事をするしかないだろう」
情報を得ても、何をすればいいのか分からないのは変わらない。
そのため、優輝は情報を整理するついでに、自分の今ある力を磨く事にした。
感情があれば、これしか出来ない事に歯痒さを感じるであろう、何も打つ手がないという事実を、受け止めながら。
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