第6章:束の間の期間
第192話「現れた二人」
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……結論から言えば、全て無意味だった。
解析は一切通じず、当然のようにすり抜けた。
「分かった事と言えば、干渉する意思を見せなければ、触れる事は可能と言う事か」
〈椿様と葵様もお二人を背負っていましたからね〉
魔法でも、霊術でも、“触れる”と言った簡単な事なら干渉出来た。
だが、僅かにでも何か思う事があれば、それすら出来なかったのだ。
「なんて都合のいい性質だ」
〈全くですね。存在の“格”が違うだけあります〉
一方的な干渉が可能。
まさに“神”にふさわしい性質とも言える。
そして、それは一度敵として対峙した事がある優輝達にとって、最悪過ぎる性質だ。
「……やはり、宝具か何かでこっちの“格”を底上げしないとダメか」
〈ですが、体が耐えられません〉
「分かっている。それも、ただ体を鍛えればいい訳じゃない。……あれは体だけじゃなく、魂さえも耐えられない。“神”に匹敵する“格”に引き上げるんだから、当然と言えば当然だけどな」
実際無事だったのもあり、今まで口に出していなかった事を優輝は口にする。
あの時、リヒトを使用不可にしてでも行った行為は、魂さえも負荷がかかっていた。
まさに自分の存在そのものが罅割れて行くような代償を、あの時支払っていたのだ。
それでも無事に済んだのは、その時間がごく僅かだったからだろう。
「結局、僕らだけじゃ、対処法として成り立つモノを用意する事は出来ないな」
〈……そのようですね〉
結論として呟かれた優輝の言葉に、リヒトは同意する。
だが、優輝からすれば、その同意の言葉は何かを言いたそうにしていた。
それを見抜いてか、リヒトはそのまま言葉を続けた。
〈―――ですが、諦めるつもりは毛頭ないのでしょう?〉
「………」
〈感情を失っても、マスターはマスターのままです。無茶を顧みず、自分の求める良き結果のためならば、最後まで諦めようとしない。……でしょう?〉
「……よくわかっているな。さすが、ムートの時からの相棒だ」
まだ、窮地にまで行っていない。
そんな状況下で……否、例え窮地に陥ろうと、優輝は諦めが悪い。
故に、打つ手がなかろうと、何もしないという選択肢は、優輝の中にはない。
「その通り、諦めるつもりはない。直接解析出来なかったのなら、それでも構わない」
大きな手掛かりになりそうな存在が、実はそうでなかっただけ。
優輝は言外にそう言いながら、二人が眠る部屋を後にする。
「それに、僕らでは手を打てなくとも、僕より頭の切れる奴には何かしらの打てる手立てがあるのかもしれないからな」
〈……なるほど〉
二人を調べるために時間を割いたとはいえ、未だに他の皆
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