第6章:束の間の期間
第192話「現れた二人」
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改竄や精神干渉など、非人道的なものだった。
おまけに根本的な解決にもならないため、それらの案が出る事はなかった。
「『とにかく、目が覚めるまでは家に寝かせておくつもりだ。……様子を見たいなら直接見に来てくれ』」
『わかった』
念話を切り、優輝は一息つく。
現在、椿と葵は鈴のいるさざなみ寮や、学校などに説明に行っている。
優輝の両親も同じ理由で外出していた。
現れた二人の事はともかく、再度起きた揺れについては説明が必要だからだ。
「………さて」
今家には寝ている二人以外に、優輝しかいない。
「確かめられる事は、確かめないとな」
一人でいる内に。そう考えて、優輝は寝ている二人の下へ行く。
「椿が少しばかり検証したみたいだけど、深入りはしていなかったしな」
〈……マスター、傍から見れば、寝込みを襲う変質者にしか見えませんよ?〉
優輝の行動に、リヒトが思わずツッコミを入れる。
いくら調査のためと言えど、明らかに変態の所業にしか見えない。
〈そもそも、マイスターではなく椿様や葵様にやってもらった方が倫理的にもいいと思うのですが。マイスターが行う必要はありませんよね?〉
さらにシャルにもそう言われる。
はっきり言ってこちらの方が正論にしか聞こえない。
「二人は外出しているのに対し、今の僕は手持無沙汰だ。なら、時間を無駄にしないためにも、僕がやってもいいだろう。それに、別に変な事はしない」
今の優輝は感情がないため、性欲も完全に抑制されている。
別にやましい事をしないのは確かなのだ。
「……絵面的にまずいのは自覚しているがな」
〈合理的思考がここで……。まぁ、時間を無駄にしたくないのは分かります。今の状況下では、いつ緊急事態になるか見当もつきませんからね〉
一日に二度の原因不明の揺れ。
そして、二度目には神の思しき存在が二人、ボロボロになって現れた。
そんな、予想外な出来事が連続して起きたのだ。
また間もなく“次”が起こらないとは、限らない。
「魔法、霊術、科学、物理……今できるあらゆる干渉を試す」
〈神力では試さないのですか?〉
「さすがに神降しの力はもう残っていない」
神降し直後ならいざ知らず、女体化も解けた今では神力は用意できない。
椿がいれば何とかなったが、結局今はいないので意味がなかった。
「……尤も、試さずとも予想は出来るがな」
そう言って、優輝は今自分の持ついくつもの手段を使って、二人の解析を試みた。
〈……何も成果出ず、ですね〉
「予想の内だ。感情があれば、その上で予想が外れて欲しかった。なんて、思っていたりもしただろうな」
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