第6章:束の間の期間
第192話「現れた二人」
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そ。
そして、優輝の記憶では自身に敵意を向けていたという事実から、敵意がそのままであれば、目覚めた瞬間にその力を自分に振るうだろうと考えて警戒していた。
「……いや……」
「違うの?」
「今言ったのが理由……ではある。だが、それ以外に何か……」
歯切れを悪くする優輝。
そんな優輝を、椿と葵は訝しむ。
「直感……予感か?とにかく、“ナニカ”が二人から感じられた」
「曖昧な感覚……だけど、くだらないと一蹴するには優輝のそれは当たるから否定しきれないわね。……結局その“ナニカ”は分からないけど、無力化するのに越したことはないと思ったのね」
「ああ」
どの道突然過ぎた行動なため、呆れたように椿は溜息を吐いた。
「で、その結果がさっきのね。攻撃自体はすり抜けたけど」
「ああ。性質はおそらく、以前のあの男と同じだ」
「あらゆる攻撃が通じない……って訳ね」
一応、未だに間に立ち塞がる椿と葵だが、既に優輝の敵意は薄れていた。
「……次善の行動だ。とりあえず様子を見る。ここまでボロボロになって現れた時点で、僕らの与り知らない所で何かが起きていたのだからな」
「そうね。……そもそも、その行動を取るのが普通よ。貴方のは極端すぎるわ」
「合理的……と言うか、衝動的に動いたよね?」
「……衝動を感じ、それに合わせたという所だ」
優輝の様子から、もう即座に攻撃を起こさないと分かり、椿は溜息を吐く。
「はぁ……感情が消えた弊害ね。……でも、普通なら衝動は抑制できるものじゃないの?今の貴方は、判断してからの行動が誰にも止められないぐらい早いんだから、体が勝手に動いた、なんて事はあまりしないでよね」
「……悪い」
さすがに自分に非があるのを自覚して、優輝は謝る。
「……とにかく、一旦家に帰りましょう。この二人を放っておく訳にもいかないし、明らかにさっきの揺れと大きな関わりがあるでしょうしね」
「そうだな」
「じゃ、あたしが背負うよ」
とりあえず帰宅する。
そう言って、三人は家に帰った。
なお、念のために二人は優輝に任せず、椿と葵が背負って家に連れ帰った。
「……それで連れて帰ってきたのね……」
「ええ」
家に帰り、客間に二人を寝かせる。
その支度をする間に、優香と光輝への説明を椿が行った。
「……やっぱり、治癒も出来ないのね」
「え……?嘘、魔法が通じない……」
「攻撃だけでなく、治癒も通用しないなんてね」
ボロボロだったために、椿が治癒の霊術を行使する。
しかし、二人を癒す事はできなかった。
そのことに優香は困惑し、自身も魔法を使うものの、
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