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魔術師ルー&ヴィー
第二章
W
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、多くの人命を失うことになってしまったのだ。
 暫く走ると、義勇団は教会へと入った。アデンとイェンゲンの二人もそこに入り、イェンゲンはやっとルーファスへと会うことが出来た。
「ルーファス!」
 名を呼ばれてルーファスが振り返ると、そこには見知った顔がある。
「イェンゲン!」
 直ぐにルーファスはイェンゲンの元へと歩み寄った。
「生きてたんだな…良かった。」
 ルーファスがそう言うと、イェンゲンは俯いて返した。
「私の隊はほぼ壊滅だ。生き残った者は私と十六名だけだった。」
「それでも、お前は生きている。だから、ここに立っていられる。そして、戦える。」
 ルーファスはそう言ってイェンゲンの肩に手を乗せた。
 イェンゲンが顔を上げると、ルーファスは「来てくれて、ありがとな。」と言ったため、イェンゲンは込み上げるものを抑えながら返した。
「ああ。」
 その隣ではアデンが哀しげな表情を見せていたが、三人は直ぐにあの怪物〈グール〉をどうするか話し合った。
 すると、ルーファスがとある考えを話して二人を驚嘆させたのであった。
「それは些か無茶と云うものだ!少なくとも、第四位以上の魔術師が四人は必要になる!それ以上に、魔力のない者を移転魔術で移動させるなんて…。」
「いや、移転魔術に少し手を加えれば百人程度なら動かせる。問題は、グールを閉じ込める“檻”だ。」
 事もなげに言うルーファスに、イェンゲンは再び過去を思い出す。ルーファスは昔から、皆が驚くようなことを遣って退けてきたのだ。
 アデンもイェンゲンと同じように思ったが、二人共直ぐに現実へと意識を集中させた。
「しかし、グールを四方結界の中心に追い込まねばならないのだぞ?」
「ああ、それが厄介なんだ。」
 ルーファスがそう言うや、夜闇にグールの叫びが響く。
「ったく…もうあれから抜けやがったか…。ヴィー!」
 ルーファスは弟子を呼ぶや、移転魔術を行使するため人々を中心へと集めるよう指示した。
「おい、ルー。まさか今…」
「そうだよ!こうでもしねぇと、こいつらが犠牲になっちまうだろうが!」
 そう言いながらも、ルーファスは空へと何かを描く素振りをしている。
 イェンゲンもアデンも、一度だけこの動作を見たことがあった。それはコアイギスが特別講習を開いた時で、空へ陣を描いて魔術を行使するものであった。
 それを思い出し、二人は見ているしか出来なかった。目の前にいるのは、はやり化物なのだから…。
「師匠、全員中央に集まってもらいました!」
「よし!」
 そう言うや、ルーファスは陣を発動させ、呪文も直ぐに完成させた。そして、人々を遠く離れた港町の大聖堂へと移転させたのであった。
「あっちでは騒がれるだろうが、人命には替えられねぇかんな…。」
 これだけの大魔術を行使
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