第二章
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も神聖術者も部隊は約五十名で、それが各四部隊編成されていた。だが、それだけの人数をもってしても…王都を七日と経たぬうちに破壊し尽くした〈グール〉。
妖魔故に魔術は兔も角としても、神聖術は有効だった筈である。しかし…その神聖術者さえほぼ全滅させた。
「一体…どれだけ残っているのか…。」
イェンゲンのこれは独り言であったが、それを問いと受けとめた魔術師は言った。
「残っているのはシュテンダー様率いる義勇団のみと考えられます。義勇団は一人も死者を出していないとの報告を受けております。」
「シュテンダー…ルーファス!で、ヤツは今どこに?」
「つい今し方、かの妖魔と対峙しているとの報告を受けたと聞きます。これで彼らは四度目の対峙となります。」
大隊規模で魔術師と神聖術者の部隊が八部隊あった。各部隊は中級から上級の魔術師や神聖術者で構成されていたにも関わらず…大半はただ一度の対峙で壊滅させられていた。それなのに…たった十数名の義勇団が三度もあの化物と対峙して死者を出していないとは…。
「私は…一体、何をした…?」
今更ながら、イェンゲンは自分の無力さを実感した。いや…ここで生き残った者全員がそう思ったに違いない。
彼は歩きながら思う…相手は化物だ。あれを相手にするには、やはり化物でなくば太刀打ち出来ない…。
伝説の五人組にしろ、大魔術師クラウスしろ…ルーファスにしろ…。自分なぞそれに比べたら、ただの凡人に過ぎないのだ…と。
「化物には…化物…か。」
そう言って自嘲気味に笑う。
彼はルーファスが嫌いだ。いや、嫌いになったと言うか…ある種、尊敬し過ぎてそれが反転したのだ。自分はどれだけ努力しようとも、決してあそこまでには至らないことを知っていたから。
ホロヴィッツや他の魔術師らもそうだが、皆ルーファスに憧れていた。彼の天賦の才とその奔放な性格を愛した。彼は自身の力に驕らず、身分すら関係なかった。
イェンゲンは彼が眩しかった。出来る事なら、彼になりたいとさえ願った。たが…そんな思いはただの幻想でしかなく、彼の力は今ある以上になることはなかった。
ルーファスが十五歳の時に魔導師の称号が与えられると、今度はルーファスを憎むようになった。
ルーファスが人の何倍も努力していたことを知るものの…どうしても納得することが出来なかったのだ…。
「私も…小さな器と言う訳だな…。」
そう言って、イェンゲンはまた自嘲したのであった。
しかし、今はその様なことを考えている間はないのだ。自分の尊厳など、この状況でどうこう言える筈もない。
魔術は人を救うためにある…イェンゲンはそう考えを改め、前からこちらへと歩いてくる魔術師へと声を掛けた。
「済まぬが、アデンは動ける状態か分かるか?」
「はい。先程まで神聖術者の治療を受けて
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