溺れし神は何を見るか
第一話:"神"と呼ばれた男
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!」
こんな気持ちは初めてだった。だから、ついつい攻撃的になってしまうのも、仕方の無いことであった。
「私は神だ! 何事も、意のままにする! "神の裁き" !!」
彼の左腕に雷が集中する。次の瞬間、彼の左腕が雷に変化し、莫大なエネルギーが撃ち出された。その光は一瞬にして月の都の市街地に到達し、家屋を貫く。勿論それだけでは終わらない。更に連続で撃ち出される極光は、建ち並ぶビルや家を焼き払っていく。エネルにとって興味をそそられるものもいくつかあったが、それ以上に彼の頭は怒りで一杯だった。そしてついに、彼は"ある装置"を起動させる。
「"デスピア"起動! ヤハハハハハハ! このまま滅ぼし尽くしてやる!!」
マクシムの煙突から、黒い雷雲が放たれる。エネルがここに来るまでに修復しておいたのだ。この装置が無ければ、彼の力は十全に発揮されない。
――――"宴"が始まろうとしていた。
☆★☆★☆
月の使者、本部。
「総員、第一種戦闘配置!」
「それ言いたいだけでしょ、姉さん」
「いいじゃない! 雰囲気も大事なのよ?」
「ちょ、ちょっと!? 余裕ぶってないで速くアレ止めてくれませんか!!?」
兎耳少女のうちの一人が叫ぶ。いつも通りのマイペースな二人に我慢できなかったようだ。
「ちょっと待って。今、モモニウム接種中なのよ」
「な、何ですか、モモニウムって!」
ただの桃である。
何を隠そうこの豊姫、桃が大の大好物である。それはもはや中毒の域に達しており、以前見兼ねた依姫に桃をすべて没収されたところ、狂乱状態で町中をさ迷った挙げ句に、気付けば何故か宇宙空間で背泳ぎをしていたという過去を持つ。
そんな豊姫に依姫の方が折れ、今では姉が桃を食べ終わるのを静かに待つことが習慣になってしまった。
「ふぅ〜。食べた食べた! さ、行きましょうか!」
「では、先に行ってきますので、姉さんは後で」
「分かったわ。よろしく♪」
そう言った直後に、とんでもない速度で飛んでいった依姫を見て兎耳少女達が、相変わらずの化け物っぷりだと畏怖する中、豊姫は、何故か依姫が向かった方向とは別の方向に向かってゆっくりと歩いて行った。
☆★☆★☆
「百万ボルト・放電!」
一方その頃エネルは、この月の空を覆う雷雲を見て満足げに笑う。先程から果敢に攻撃を仕掛けてくる"月の使者"達を相手してはいるが、そのあまりの呆気なさに、エネルは先程とはうってかわって退屈を感じていた。だが、それもも
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