卑の意志なのか士郎くん!
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嗟に盾で防いだマシュの視界が一瞬塞がり――アーチャーは自ら踏み込んで死角に回り込み、盾を掻い潜ってマシュの腹に蹴りを叩き込んだ。
「かはっ――!?」
サーヴァントの本能か腕で蹴りをガードしてクリーンヒットは防いだものの、今度こそマシュは吹き飛ばされる。
アーチャーが馳せる。瞬く間に俺に接近してくる。干将莫耶を投影し迎撃した。
「やはりこうなるか……!」
「……ォオ!!」
憎らしげにアーチャーが吠えた。瞬間的に袈裟と逆袈裟に振るわれた双剣を防ぐも、己の双剣で俺の双剣を押さえ込み、ゼロ距離にまで踏み込んできたアーチャーに頭突きを食らわされてしまう。
更に距離を詰められアーチャーはあろうことか双剣を手放し拳を放ってきた。わかっていても防げない堅実な拳打。こちらも双剣を捨て両腕を立て頭と胴を守り防御に専念する。
拳を防ぐ腕の骨が軋んだ。強化していなければ一撃で砕かれていただろう。歯を食い縛って堪え忍ぶ。
コンパクトに纏められた無数の拳打、三秒間の内に防いだ数は十八撃。ガードを崩す為の拳撃だとわかっていても、到底人間には許容できない威力に俺の防御が崩される。
腕の隙間を縫った奴のアッパーカットが俺の顎に吸い込まれた。ガッ、と苦鳴する。だが、思考は止めない。頭を跳ね上げられると、俺は反射的に飛び下がっていた。
一瞬前に俺の首があった位置を干将の刃が通過していく。アッパーカットを当てるや流れるように双剣を投影して首を狙ったのだ。
追撃に来るアーチャーの剣を、なんとか双剣を投影して防ぐ。俺とアーチャーの双剣が激突し火花が散った――瞬間。見覚えのない景色が、脳裏に浮かぶ。
「っ……!?」
「くっ……!」
アーチャーもまた戸惑ったように動きが鈍る。そこにマシュが駆け込み、大盾でアーチャーを殴り飛ばした。
まともに入った一撃に、マシュ自身が最も戸惑っていた。
「あ、当たった……? ……いえ、それよりも先輩、大丈夫ですか!?」
喜びかけるも、マスターの状態を気にかけてマシュが心配そうに駆け寄ってきた。俺は血を吐き捨てる。口の中を切ってしまっていた。
大丈夫だと返しつつ、思う。なんだ今のは、と。
(知らない男がこちらに向けて泣き縋り、白髪の男が無念そうにしている光景)
――そんなものは知らない。
溢れる未知の記憶が、光となって逆流してくる。見たことも聞いたこともない事象がどんどんと。
――これは、なんだ? ……まさか……アーチャーの、記憶……か?
バカな、と思う。愕然とした。
前世の自分を降霊し、前世の自分の技術を習得する魔術があるという。アーチャーと衛宮士郎は人間としての起源を同じくする故に、特例として互いの記憶を垣間見て、技術を盗む
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