決戦……と見せかけて転進
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だと判断した。無防備を曝す所に爆弾が直撃すれば、結果は火を見るより明らかだ。
『darling、ごめん……』
心の中で金剛は、最愛の人に涙を流して謝罪した。その時である。
「金剛さん、伏せてっ!」
その叫びに身体が反応して、半ば倒れ込むように頭を下げる。声のした方を見れば、そこには上に何かを投げんと振りかぶった夕立の姿が見える。その振りかぶった右手の指の間には、魚雷が4本。
「あっ……たれええぇぇぇーーーーっ!」
普段から魚雷を水切り石のように投げていた夕立。神通は止めなさいと注意していたが、その元凶が己の姉であると知ると、呆れたように注意するのを諦めた。それでも止めなかったのは、投擲とは思えない命中率を誇っていたからだ。戦術として有効だと証明して見せたからこそ、神通もそれを止めたのだ。そしてそれが、思わぬ形で報われる事となる。
普段ならダーツのようにまっすぐ飛んでいく魚雷も、夕立の焦りもあってかクルクルと回転しながら飛んでいく。だが、その回転が良かったのか投擲した魚雷が敵の航空機を捉え、3つの火球が宙に花開く。爆発の衝撃に金剛達は揺さぶられながらも耐える。艦爆が爆発の最中に落としたのか、爆弾が金剛の足元に着水して炸裂。金剛、神通、秋月の3人はモロに海水を被る。が、濡れ鼠になる事など造作もない。夕立の機転が無ければ、海の藻屑になっていてもおかしくなかったのだから。
「Thank Youネ、夕立」
「当然だよ?金剛さんに何かあったら、提督さんが心配するっぽい」
「ノンノン、darlingは誰が轟沈しかけても心配するネー」
「確かにそうですね、私も軽率でした……ですがそうも言っていられない手合いのようです」
神通が見上げる空。そこには、黒い影の塊のように蠢く小さな物の群れが此方に近付きつつあった。
その光景を見て秋月は、蝗(いなご)の群れの大移動のニュース映像を思い出していた。『それ』が何故起きたかは定かではないが、その群れが通った後には草木は1つも残らないという。しかし、あれは蝗などではない。
「ワーォ……中々の絶景、ネ」
さしもの金剛の顔にも苦笑いが浮かぶ。此方に向かってくる艦載機の群れ。下手をすると数百に及ぶかも知れない……そう思わせるほどに空が黒く見える。
「どうします?完全に敵に手番を取られた格好だけど」
赤城が弓に矢をつがえながら聞いてくる。進むべきか、退くべきか。そもそもあの群れを突破したところで、敵に余力がないと言い切れるのか?逆転の目は存在しないのか?脳内での逡巡を繰り返し、金剛は1つの決断を下す。
「三式弾でも積んどくべきだったネ〜……赤城、加賀!」
「で?結局どうするの?戦るの、退くの?どっ
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