決戦……と見せかけて転進
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ーはホワイトアウトした。
「っ！……大丈夫か金剛！」
「応答して下さい、第一艦隊！何が起こったの！？」
あの大淀が慌てるなんてのは相当な異常事態だ。『何が起こるか解らない』と覚悟はしていたものの、突如衝撃波らしき物が発生するなど想像もしてないかった。焦るな、逸るなと自分に言い聞かせつつ、金剛へと通信を繋ぐ。
『わからないネ！いきなり水柱とビッグウェーブが……お陰で赤城と加賀の発艦作業が止まっちゃったヨー……』
背中に冷たい氷の塊を入れられたような痛みにも似た寒気が走る。そこに居ちゃマズい、艦隊を逃がせ、と野性の勘とも言うべき提督の直感がけたたましくサイレンを鳴らす。
「金剛っ、10秒で態勢を建て直せないならそっから逃げろ！」
『え！？だって、あいつを追撃しないとーー……』
リバースド・ナインのあの不可解な行動から数えて、僅か38秒。太陽を背にして、逆さ落としに2000ポンドの殺意を抱えた死神が、金剛石を打ち砕かんとその鎌を振り上げた。
「金剛さんっ！」
咄嗟に反応したのは秋月だった。流石は防空駆逐艦と言うべきか、突如発生した水柱と荒波の中でも上空を警戒していたのだ。秋月の長10cm砲が唸りを上げ、艦隊旗艦を狙う不届き者を撃ち落とさんと火を噴く。逆落としで迫ってくるのは5機。秋月の目は確りとその姿を捉えている。……が、目で捉えているのと弾を当てられるかは別の問題である。神通も自らの肉体を楯にせんと、金剛の前に立ち塞がる。
「ダメよ神通、そんな事させたら私がdarlingに叱られちゃうデショー？」
自分を必死で庇おうとする2人の頭上に右手を翳し、緑色のエネルギーシールドを展開する金剛。艦娘の艤装にはどの艦種でも作戦行動中一度だけ、自分の装甲に関係なくダメージを吸収するエネルギーシールドを展開する機構が内蔵されている。しかしそれは艦娘が自分の耐久を超えるダメージを受けそうな時に発動させ、轟沈をどうにか大破で持ち堪えさせる為の物だ。本来ならば沈まずに帰る為の保険となる切り札(ジョーカー)を、金剛は惜し気もなく切ったのだ。
緑色のバリアの様にも見えるエネルギーシールドに、爆弾が突き刺さり、起爆。その爆発と共にシールドはガラス細工の様に砕け散る。しかし未だに迫る爆撃機。金剛は咄嗟にアームを動かし、自分の舷側にある装甲板を両方、頭上で重ねる。更に機関を動かす為の燃料をシールド展開装置に回し、砕けたシールドを再構成する。しかし、1度の発動を前提に作られているシールドを、無茶をして再展開しているせいで、先程のシールドよりも色が薄く頼りない。
『Shit！これは、マズったかもネ〜……？』
残る爆弾は、3。金剛は経験則で今展開している防御層では防げても2発がせいぜい
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