決戦……と見せかけて転進
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『作戦第一段階、陸攻による高高度爆撃……命中を確認!続いて雷撃も命中!』
『陸攻隊は速やかに退避、空母連中の攻撃に巻き込まれっぞォ!』
『空母艦載機隊、雷撃位置に入ります!』
矢継ぎ早に飛び込んでくる通信に、指示を返していく。
「普通の深海棲艦なら、この時点で木っ端微塵でも不思議ではありませんね」
「それが、奴は小破程度で耐えておるのか……!?」
「やれやれ、正に化け物級のタフネスだな。実はあいつの正体、イラストリアスだったりしねぇ?」
思わず、といった様子でイギリスの不沈空母として名高い艦の名前を挙げる提督。
「……提督、もうお分かりでしょう?『彼女』はイラストリアスではありませんよ」
「わ〜ってるよ、冗談だ冗談」
しかし、違うと頭で理解はしていてもあの冗談のような堅牢さを見ると本当に奴はイラストリアスではないのかと疑いたくなる。何せ戦艦クラスの艦娘が緊急時に展開するエネルギーシールド以上の分厚さのシールドを常時張っている上に、そのシールドをぶち抜いてダメージを与えたとしてもその傷はビデオの逆再生をしているかのように治っていく。
「バフかけまくりの上に常に〇ジェネとか何の冗談だよ、ったく……」
ゲームだとしてもひでぇバグキャラだ、とぼやきたくなる。
『雷撃直撃まで10秒!』
リバースド・ナインの頭上を飛んでいる偵察機からの通信が響く。ディスプレイには最大望遠で彼の魔女の姿を捉えている。そのカメラに向かって、魔女がチラリと視線を送る。モニター越しだというのに、提督の背中に寒気が走る。何かヤバイ、と感じた瞬間、モニターの中の魔女が不可解な動きを見せる。
右手を開いたまま、カメラに向けている。それは即ち、偵察機の位置を正確に捉えているという事だ。そして開いていた手を、まるで何かを握り潰すかのように握り締めた。まるで、
『今からお前に攻撃する』
という宣言のようにすら見えるアクションだ。
「雷撃着弾まで……3……2……」
タイムスケジュール管理をしていた大淀のカウントダウンが無機質に響く。丁度そのカウントダウンが2を告げた瞬間、モニター内の魔女が握り拳を降り下ろした。その瞬間、モニターが地震直後の監視カメラの映像の様にドスンと揺れる。と同時に、大きく重く響く音を提督は耳にした。ズシン……と身体の芯に響くような。だがそれは、耳だけでなく艦全体が何か……そう、不可視の衝撃波のような物に揺さぶられたかのように艦全体を揺らしていた。異変はそれだけではない、偵察機のモニターにも同時に異変が起きていた。偵察機がコントロールを失ったかのように錐もみしながら急降下を始めたのだ。そして数秒後、水面に叩きつけられたかのような水飛沫を最後に、モニタ
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