第五章
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しかしだ、それでもともだ。鈴子は言うのだった。
「その認識はです」
「そういうことですね」
「では」
「明日ですね」
「息子さんを救い出し」
「堀内組もですね」
「壊滅させましょう」
こう言ってだった。
鈴子は雅と共に酒を飲み終えてからこの日はぐっすりと休んだ、そうしてから朝早くそれこそ日の出の前にだった。
宿を出て堀内組の屋敷に向かった、夜明け前の一日の中で最も寒く暗い時にだった。
鈴子は術で霧を出して睡眠の術も使ってだ、屋敷の中に入った。そうしつつヤクザ者達を縛っていったが。
その縛る手際を見てだ、雅は鈴子に言った。
「縛る手際がいいですね」
「山伏をやっていますと」
「あっ、山によくいるので」
「はい、縄もです」
これの使い方もというのだ。
「作業の時に何かと使いまして」
「それで慣れていますか」
「私の場合そうです」
「その辺り船乗りの人と同じですね」
「そうですね、では」
「ならず者達は縛っておいて」
「後で警察を呼んで屋敷の中にある悪事の証拠ごと突き出しましょう」
ヤクザ者の溜まり場を調べれば彼等の悪事のそれが揃っている、これはどの悪党達もそれこそ抜き打ちで調べない限り同じだ。鈴子もそのことがわかっていていているのだ。
「そうしましょう」
「そうですね、ではですね」
「ご主人の息子さんを探しましょう」
鈴子は雅にヤクザ者達を効率よく縛ってそのうえで動けなくさせてからだった。屋敷の地下への階段を見付けてその階段を下りてだった。
そこにある座敷牢の一つに着物を着たドワーフジャイアントの息子を見付けた。鈴子達の術のせいで寝ていたが。
鈴子はその子に術をかけて目を覚まさせてから声をかけた。
「岡前孫平さんの息子さんですね」
「えっ、お姉さん達は」
「お父さんに貴方を助け出して欲しいと頼まれた冒険者達です」
鈴子は座敷牢の鍵を術で解除して男の子を牢から出しつつ素性を隠して名乗った。
「宜しくお願いします」
「お父さんから」
「はい、それでここまで来ました」
「そうなんだ」
男の子は鈴子に自分の父のことを言われてだった、喜ぶどころか。
顔を伏せて悲しい顔になった、それでこう言うのだった。
「お父さん昔悪い人だったんだね」
「この屋敷のヤクザ者達に言われましたか」
「ヤクザ屋さん達皆言ってたよ、お父さん昔は金沢ってところで凄く悪いヤクザ屋さんだったんだよね」
「強かったそうですね」
「もう有名な」
「その様ですね」
鈴子は主から聞いた言葉をその通りだとだ、彼の息子に答えた。
「どうやら」
「お父さん悪い人だったんだ」
「昔はそうでしたね」
「昔は?」
「はい、昔はです」
こう言うのだった。
「ですが今はどうでしょうか」
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