第五章
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「悪徳商人ですね」
「その鑑ですね」
「尊敬は出来ないですが」
「ある意味見事ですね」
「その俺が善行なんかするか」
男は頑として言い続ける。
「天地がひっくり返っても割れてもあるか」
「ではです」
「何でい」
「私達も貴方に嫌がらせをします」
話しても埒が明かない、こう判断してだった。雅は決断を下して男に述べた。
「これから貴方名義で貴方の今現在の全財産を慈善団体に寄付して雇っている人達の待遇を変えて不良品販売を止めます」
「何っ!?」
「そうして貴方は隠居です」
「おい、そんなこと出来るのかよ」
「出来たらどうしますか」
「出来る筈ないだろ」
「では貴方がそれをすれば」
どうかとだ、雅は男に述べた。
「私達は貴方に贈りものをしましょう」
「へっ、俺は捕まりたくねえから犯罪になる様なことはしねえぜ」
「ではこれから手を打ちますので」
「それでかよ」
「全ては貴方名義でのこととなります」
こう言ってだ、雅は鈴子と共に一旦男の前から姿を消してだった、すぐに彼の店に秘かに星の者の命令を出して役所を動かして行政指導を入れた。
そして無理にだった、完全に低賃金重労働の店の在り方を改善させて不良品の販売も止めさせてだ。処罰としてだった。
男の全財産を慈善事業に寄付させて処罰とした、処罰であったが。
全て彼名義だった、それが結果として善行となり。
男の呪いは解けた、彼は嘘を言っても身体が痛くなくなった。それで雅達に対してこう言ったのだった。
「何かよくわからないがな」
「私達がしたとはですね」
「冒険者がどうして役所動かせるんだよ」
雅達の正体は見抜けず言うのだった。
「絶対にな」
「だからですね」
「俺は役所にも睨まれていたからな」
「遂に報いを受けたのですね」
「やられたぜ、しかしな」
「それでもですね」
「俺は生粋の悪人で悪徳商人なんだ」
この時も胸を張って言うのだった。
「だからな」
「このことで、ですね」
「反省するか、そしてな」
「これからもですね」
「俺は悪徳商人、嫌われて生きていくぜ」
「好かれるおつもりはないのですね」
「俺は好かれたことなんか一度もないからな」
その一生でというのだ。
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