第八十八話 大坂に戻りその五
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「だからな」
「この二つを揃えるとね」
「そうだ、金がなくては兵を揃えられない」
「だからとね」
「やはりまずはな」
「金とね」
「それになるな」
「金ならね」
桜子が言ってきた。
「今のあたし達も持ってるけれど」
「そうだな、しかしな」
「まだだね」
「そうだ」
どうにもと言う英雄だった。
「俺達は冒険者として多く持っている」
「そうだけれどね」
「だが勢力を動かすとなるとだ」
「冒険者として多い位だとね」
「桁が違う」
それこそというのだ。
「だからだ」
「お金はもっと必要ってことだね」
「多いに越したことはない」
英雄はこうも言った。
「それこそ金山や銀山が幾つもだ」
「必要な位よね」
「豊かな街に田畑にな」
「それじゃあ」
「金はどうにかして儲けていくか」
「金な、だったらぜよ」
当季が右目を瞑って顎に着物の前から出した右手を当てている彼独特の仕草から英雄に対して述べた。
「堺、大坂の商人達を味方につけてぜよ」
「そうしてか」
「金を借りるぜよ」
「まずはそこからか」
「そしてわしもじゃ」
当季もと言うのだった。
「一つ考えてるぜよ」
「儲け方をか」
「そうぜよ、わいしゃ昔から商売に興味があってじゃ」
「これを機会にか」
「いっちょやってみるぜよ」
「成功すれば大きいが」
幸正がその当季に言った。
「外れるとな」
「借金ぜよ」
「それになるが」
「そうじゃのう、しかしぜよ」
「商売をしてか」
「儲けるのが一番ぜよ」
勢力を運営するだけの資金を手に入れるにはというのだ。
「やっぱりそれぜよ」
「ならだ」
「なら。何ゼよ」
「むしろ我の方がいいだろう」
幸正は当季に目を鋭くさせて言った。
「むしろな」
「そういえばおまんは海賊で」
「湖川の商いなら知っている」
「それでぜよ」
「儲け方も知っている」
「海賊は商いもするのう」
この島では海はないので正確に言えば川賊や湖賊となるだろうか。川賊というと実はロシアのコサックが当初はそうだった。
「それでか」
「我も商いはしてきた」
「そうぜよ」
「だから川や湖でだ」
「商いをしてじゃな」
「儲けるか」
「そうか、ならわしはじゃ」
当季は幸正のその言葉を聞いて述べた。
「おまんの傍にいてじゃ」
「そうしてか」
「商売を見させてもらうぜよ」
こう言うのだった。
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