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許されない罪、救われる心
171部分:第十六話 向かうものその二

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第十六話 向かうものその二

「それでもね。弥生に何かあったら」
「その時はなの」
「そう、絶対に傍にいるから」
「いてくれるの」
「弥生がいてくれるから。だから」
「待って」
 しかしだった。ここで弥生は電話の向こうの如月に言ってきた。彼女を一旦止めてそれから。じっくりと話す言葉になっていた。
 その言葉でだ。弥生は如月にこう話すのだった。
「それはね」
「それは?」
「前からじゃない」
 そうだというのだった。
「前からじゃない」
「前からって」
「そう、前から」
 弥生はまたこう如月に告げた。
「子供の頃から」
「そうだったのね」
「そうよ。あの頃からずっと友達だったじゃない」
「ええ」
「だからよ。私だって」
 その子供の頃からのことも思い出してだ。言うのだった。
「如月に何度助けてもらったか」
「そうだったかしら」
「そうよ。助けてもらったわ」
 そうだったというのである。
「だから今度はね。私が如月をなの」
「助けてくれているの」
「そうなるわ。だから気にしないで」
 優しい声でだ。如月に告げた。
「それじゃあ明日ね」
「ええ、明日」
「明日行きましょう」
 こう話してだった。その次の日である土曜日に二人でその病院に行ったのだった。昼前にそこに行くとだった。すぐに水無が出て来た。
「いらっしゃい」
「はい」
 如月は水無に対して挨拶をした。それからだった。
 あらためてだ。彼女に言うのだった。
「それでなのですが」
「今日はどうしてここに来たのかしら」
「あの、私」
 少し俯いてだ。そのうえでの返答だった。
「私今学校に通ってます」
「そうしてるのね」
「はい、そうしています」
 そうだとだ。弥生に話すのだった。
「今は」
「そうね。そういえば」
 水無はその如月の顔を見た。そうして言うのだった。
「少しよくなったわね」
「よく、ですが」
「ええ、顔がよくなったわ」
 そうだったというのである。
「少しだけれど」
「そうですか」
「いいことよ。それでね」
 今度はだ。弥生を見てそうしてまた言うのだった。
「貴女も来てくれたのね」
「はい」
 弥生もまた水無の言葉に頷くのだった。
「そうです」
「この娘の傍にいてくれてるのね」
「友達ですから」
 だからだと。弥生は水無に対しても答えた。

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