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翠碧色の虹
第三十九幕:すれ違いの虹
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月さんも分からないと思うし、俺が答えを見つけたい。それが無理だとしても、七夏ちゃんに俺自身が訊かなければならない事だ。

「七夏ちゃんは虹の話題が苦手」
虹の話題が苦手な事も、今さら訊く必要は無い。その事で、今がある。虹に対しても七夏ちゃんは変わろうとしている。俺は七夏ちゃんに「七色の虹を見せてあげたい」なんて話しておきながら、何も出来ていない。

「七夏ちゃんの落とす影って?」
以前に高月さんが話していた事。笑顔から影が落ちているというのは・・・七夏ちゃんを見ていても気付けないままだ。

「可愛いと言われる事は迷惑?」
ある時期から七夏ちゃんは「可愛い」という言葉に対して何とも言えない困惑の表情を浮かべるようになった。でも、完全に嫌がっているようには思えない。お泊り客から「可愛い」と言われた七夏ちゃんは笑顔で応対していた。

ここまで考えて、ある事に気付く。

時崎「あっ!」

七夏ちゃんの最も魅力的な「ふたつの虹」について、思い出すかのように意識された。七夏ちゃんは「ふたつの虹」を感覚出来ていない。そして、天美さんや、高月さんも「ふたつの虹」を感覚していないかのように振舞っている。今の俺もそうだった。最初は変化する七夏ちゃんの瞳の色が不思議で魅力的に思えた。それは今でも変わらない。けど、それよりも、もっと魅力的で大切な事があって、それを想う気持ちこそ「ふたつの虹」の持つ本当の魅力なのかも知れない。

高月さん、参考書選びに悩んでいるのだろうか?

笹夜「時崎さん!」
時崎「え!? うわっ!」
笹夜「きゃっ!」
時崎「ご、ごめん!」
笹夜「いえ・・・私の方こそ・・・」

突然背後から高月さんに声を掛けられて驚く。高月さんは、参考書の置いてある場所に居ると思ってたけど・・・。

時崎「参考書、見つかった?!」
笹夜「はい♪ すみません。楽譜も見ていたら、遅くなってしまって」
時崎「なるほど。全然構わないよ」
笹夜「ありがとうございます♪」
時崎「高月さん、ちょっと喫茶店で休憩しない?」
笹夜「はい♪ お心遣いありがとうございます♪」

高月さんと、喫茶店へ寄る。訊きいた事はだいたい纏めておいたけど、いざ訊くとなると、その切り出し方が難しい。二人とも紅茶を注文して、待っている時間・・・訊くなら今のタイミングだ!

時崎「た、高月さん!」
笹夜「は、はい!?」
時崎「え、えっと、ちょっと気になっている事があって・・・」
笹夜「何でしょうか?」
時崎「以前に、七夏ちゃんの落とす影がどうとかいうお話しがあったよね?」
笹夜「はい。時崎さん、分かりましたか?」
時崎「い、いや・・・それが、今でも分からなくて・・・」
笹夜「そう・・・ですか・・・」
時崎「な、七夏ちゃんの落とす影って
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