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翠碧色の虹
第三十九幕:すれ違いの虹
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なかったからなのかも知れないって」

七夏ちゃんには高月さんの虹が見えていない・・・見えたとしても、翠碧色の虹・・・だけど、高月さんの虹を写真として、アルバムとして残せばもしかすると・・・。

時崎「高月さん!」
笹夜「はい!?」
時崎「さっきの、1枚いいかな?」
笹夜「え!?」
時崎「俺からお願いします!」
笹夜「は、はい・・・こう、かしら?」

再び広がる高月さんの綺麗な髪。その中に現れた虹を俺は撮影しようと写真機を構えるが−−−

「メモリーカードの空き容量がありません。空き容量のあるメモリーカードと交換するか、不要な画像を削除してください」

時崎「・・・・・」
笹夜「? どうかなさいました?」
時崎「ご、ごめん! ちょっと待って!」
笹夜「は、はい」

俺は慌てて写真機のメモリーカードを交換する。

時崎「もう一度、いいかな?」
笹夜「はい♪」

少し、慌てている俺を見て、高月さんは微笑んでくれた。

笹夜「こうかしら?」
時崎「ああ!」

さすがに3度目となると、高月さんも慣れてくるようで、さっきよりも綺麗に髪が流れ、その中の虹もより輝いて見えた。今度はしっかりと撮影する。

時崎「ありがとう! 高月さん!」
笹夜「はい♪」
時崎「さっき、七夏ちゃんには見えていないって話してたけど、七夏ちゃんなら−−−」
笹夜「え!?」
時崎「見えてたとしても七夏ちゃんなら!」
笹夜「はい♪ 私も、そう思っています♪」

七夏ちゃんと始めて出逢った時、俺は虹の写真を見せた・・・見せてしまった。その虹は、どんな色だったのだろうか?
なんとなくだけど、届かない虹の色と、印刷した虹の色の違いなのだろうか?
或いは、触れられないか触れられるか・・・前者が翠碧色の虹で、後者が七色だとしたら・・・。
だけど、高月さんの虹は触れる事が出来ると思う。七夏ちゃんにはどのように見えているのだろうか? 分からない。分からないと言えば「可愛い」の一件もそうだ。高月さんなら七夏ちゃんの気持ちが分かるかも知れない。
時計を見る。七夏ちゃんがいつ帰ってくるか分からないから、そろそろ出掛けた方が良いかも知れない。七夏ちゃんを避けているような気持ちになってしまって複雑な気分だ。いや、七夏ちゃんと会わないように意識したのは、距離を置く事ではなくて避けている事になる。本当は七夏ちゃんと会って話しがしたいのに・・・。

笹夜「時崎さん?」
時崎「え!? あ、ごめん」
笹夜「お出掛けのご予定でしたよね?」
時崎「あ、ああ」

お出掛け・・・でも、特に予定がある訳ではない。

笹夜「先ほどもお話ししましたけど、わ、私も、ご一緒いいでしょうか?」
時崎「え!? それはもちろん!」
笹夜「ありがとうござ
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