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人理を守れ、エミヤさん!
逃げたら死ぬぞ士郎くん!
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うしたという話だが、俺はエミヤに影響を受けているわけではないという自意識を持っていた。
 俺は日本人離れした高身長(たっぱ)を持っているし、筋骨隆々としている体に相応しい体重もある。華奢な女性と向き合っていると、どうにも見下ろす形になってしまうのだが、威圧感を与えてしまっていないか少し心配である。

 ちら、とオルガマリーの両脇に立つ男達を見る。

 レフという男は、緑の外套に緑のシルクハットという、何か拘りのようなものを感じさせる格好だった。彼がカルデアを舞台とする物語でどんな役柄を演じていたのか覚えていないが、彼からは奇妙な視線を感じる。値踏みするような目だ。が、魔術師とは基本的にそんな輩ばかり。余り気にするほどでもない。

 一方のロマニ・アーキマンは、なんというか線が細く芯も脆そうな、しかし意外と頼りになりそうな印象がある優男だった。

 俺の探るような目に何を思ったのか、レフとロマニは曖昧に表情を緩めた。何も言わないところを察するに、この場ではオルガマリーを立てて黙っているらしい。もしかすると、俺に対する護衛の役割でもあるのかも知れなかった。
 まあ十中八九、ただの連れ添いだろうが。
 時計塔のロードの一角であるアニムスフィアに、魔術協会の膝元のロンドンで危害を加えるほど俺もバカじゃない。というより理由がない。彼らから視線を切り、改めてオルガマリーに向き直る。

「――だからこそ、よく分からないな」

 紅茶を口に含み、たっぷり話を吟味する素振りを見せながら言った。

「何が分からないの?」
「さて。そちらの事情については、些か荒唐無稽だがとりあえず本当のことだと信じてみるとしよう。すると少し腑に落ちないところが出てくるんだ。――マスター候補の中の本命、A班に俺を招きたいそうだがなぜ俺なんだ? 年がら年中、世界を飛び回っている俺に接触するよりも、彼女に接触する方が遥かに容易いだろうに」
「ミス遠坂のことね」
「ああ」

 すんなりオルガマリーから遠坂の名が出ても、俺に驚きはなかった。俺の交友関係については調査済みだろう。プロとしてそれは当たり前のことである。

「今回はたまたま俺がロンドンに来ていたから良かったものの、そうでなかったらお前達が俺に接触することは難しかったはずだ。なぜ遠坂でなく、俺を選んだ? こう言ってはあれだが、遠坂の方が魔術師としてもマスターとしても遥かに優れているぞ」
「簡単なことよ。貴方を見つけたのは偶然で、私が直々に声をかけたのも偶然近くにいるのがわかったから。別に貴方を特別視して囲い込みに来たわけじゃないの」
「……なるほど。つまり俺に声をかけたのは、たまたま使い勝手の良さそうなのが近場にいたから声をかけるぐらいはしておこう……そんな程度に考えてのことだったのか」

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