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蒼穹のカンヘル
四十三枚目
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「わたしだって彼氏いるもんっ! かっこいい王子様だもん! お前なんか篝にけちょんけちょんにされちゃえー!」

ヴァーリの放った魔力弾に吹っ飛ばされ、鋼生は壁に突き刺さって気絶した。

ヴァーリがシュン! と転移して消えた。

「彼氏呼ぶまでもなく鮫島がけちょんけちょんなんだけど…」

壁に刺さった鋼生を見て鳶尾が呟く。

「ヴァーリちゃんを怒らせたらダメなのです。あの年でその気になれば暴走したトビーを一方的に蹂躙できるほどなのですよ」

「えーっと…それってどれくらいなの?」

夏梅がラヴィニアに尋ねる。

「うーんと……。世界を滅ぼしてもお釣りがくるのですよー」

鳶尾の顔がサァッと青ざめる。

「お、おおおおお俺ころされるんじゃ!?」

「それは無いと思うな。だってあの子優しいから。本気で鳶尾達を害しはしないと思う」

紗枝がポツリと言った。

「はい。ヴァーリちゃんは彼氏君と居られればそれでいいのですよ。
ウツセミ機関を追っていたのも、多少の因縁があったからなのです」

「ぅ…………」

「さ、鮫島? 無事か?」

「…………………心配するくらいなら引き抜いてくれ。動けねぇんだ」

相当面白い格好にも関わらず、四人は一切笑う事なく鮫島を救出した。

「うぉー……いててて…ったくルシドラ先生め…」

鮫島は女子三人に介抱される事をキッパリ断り、自分で薬を塗り始めた。

「さっきのはシャークが悪いのです」

へへ、ルシドラ先生も恋に恋する乙女ってか? ま、その様子じゃ彼氏なんざ居ねぇだろうがな。

鮫島の一言に対して、ヴァーリはぷるぷると震えたあと、子供のように泣き顔で言ったのだった。











side in

「篝! ちょっと! 起きてよ篝!」

屋敷のベッド惰眠を堪能していたらヴァーリに揺り起こされた。

いや起きてはいたんだよ?

「なに…? 今日はオフでしょ…?」

今日はグリゴリの仕事(主に研究)も悪魔の仕事(主に討伐)もない。

子供達を迎えて一週間。彼等ももう慣れたらしくこちらのサポートも減った。

というか俺に遠慮してる。

件の研究所もカンヘルの神器空間に収納し、地下にあった子供の遺体も埋葬して弔った。

まぁ、そんな訳で、本当に久々のオフだ。

「んぅー……なんか用…?」

「私に彼氏なんていないだろってコーキが言ったの! ムカついたの! だから篝来て!」

んぁー……スラッシュドッグの所の猫使い……だっけ…。

資料はこの前読んだけど、あんまり覚えてない。

ケイニスリュカオンの所有者が姫島の縁者だったので、彼の事を調べた。

結果は白。それ以来彼等
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