四十二枚目
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あれば書斎に来るかメイドを捕まえるといい」
天使が再び指を鳴らすと、一人に一つ手帳が現れた。
「ではな」
黒い球体に包まれ、天使は姿を消した。
「…あの天使様を信じる人」
クリスが問いかけると、全員が挙手した。
「なぁ、皆。まずはこの手帳を読んでみないか?」
ジョージが手帳を掲げる。
一本の錫杖が書かれた手帳だ。
各々手帳を開こうとするが、鎧のような龍の手に慣れず、手帳を取り落とす者も多かった。
始めに紙片が挟んであった。
〔落ち着いたら、新しい名前をつけるので書斎に来ること。
≪名は命なり≫新しき生には新しき名を〕
「主よ……いや…篝様……」
十八人のなかでいちばん背の高い子が呟いた。
「これって、天使様が新しい洗礼をくれるってことなのかなぁ〜?」
眠たげな少女の言葉が示す事は、新たなる希望だ。
教会に裏切られ、揺らいだ信仰。
奪われた因子の代わりに与えられた暖かな光。
どちらを取るかは、わかりきっていた。
「行こう。そして、生まれ代わろう。悪魔を憎む、教会の奴隷だった僕らは死んだ。
天使も悪魔も堕天使も関係ない。僕は僕達を救ってくれたあの天使様の為に祈りを捧げたい。皆はどう?」
ジョージが見渡すと、皆が頷いた。
「私は、悪魔になってもイザイヤはイザイヤだと思う。だから、悪魔を全否定したくない」
トスカの瞳には意志が宿っていた。
過去と決別する覚悟が。
書斎
「早っ!? 俺3日くらい待つ気だったんだけど!?
無理しなくていいからね? 悩んでいいんだよ?」
何故か慌てる天使。
「いいえ。僕達は決めました。貴方の為に祈りを捧げると」
篝は一瞬ポカーンとして、自分の内側に意識を向けた。
子供達の声が聞こえる。
子供達に分け与えた魂の欠片をとおして。
本心から、自分へ祈る心の声が。
篝が龍の瞳を開く。
「うん…。わかった。じゃぁ、名前をつけようか」
篝が全員を見渡す。
「トスカ」
「はい」
「君の名前は、“謡”。君の中の歌声からつけた」
「ありがとうございます」
トスカがペコリとお辞儀をした。
「次はジョージ。君の名前は“典夜”。皆を支え、引っ張っていく君にこの名前をあげたい」
「喜んで」
篝は十八人全員に名前をつけていった。
女の子には音楽にかんする名前を。
男の子には文学にかんする名前を。
与えられた名前は、子供達の魂にとけて、一つになった。
その祝福は、新たなる拠り所。
新たなる信仰の礎。
「天使に生まれ変わった君達が、光
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