暁 〜小説投稿サイト〜
蒼穹のカンヘル
四十二枚目
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
あれば書斎に来るかメイドを捕まえるといい」

天使が再び指を鳴らすと、一人に一つ手帳が現れた。

「ではな」

黒い球体に包まれ、天使は姿を消した。


「…あの天使様を信じる人」

クリスが問いかけると、全員が挙手した。

「なぁ、皆。まずはこの手帳を読んでみないか?」

ジョージが手帳を掲げる。

一本の錫杖が書かれた手帳だ。

各々手帳を開こうとするが、鎧のような龍の手に慣れず、手帳を取り落とす者も多かった。

始めに紙片が挟んであった。

〔落ち着いたら、新しい名前をつけるので書斎に来ること。
≪名は命なり≫新しき生には新しき名を〕

「主よ……いや…篝様……」

十八人のなかでいちばん背の高い子が呟いた。

「これって、天使様が新しい洗礼をくれるってことなのかなぁ〜?」

眠たげな少女の言葉が示す事は、新たなる希望だ。

教会に裏切られ、揺らいだ信仰。

奪われた因子の代わりに与えられた暖かな光。

どちらを取るかは、わかりきっていた。

「行こう。そして、生まれ代わろう。悪魔を憎む、教会の奴隷だった僕らは死んだ。
天使も悪魔も堕天使も関係ない。僕は僕達を救ってくれたあの天使様の為に祈りを捧げたい。皆はどう?」

ジョージが見渡すと、皆が頷いた。

「私は、悪魔になってもイザイヤはイザイヤだと思う。だから、悪魔を全否定したくない」

トスカの瞳には意志が宿っていた。

過去と決別する覚悟が。












書斎

「早っ!? 俺3日くらい待つ気だったんだけど!?
無理しなくていいからね? 悩んでいいんだよ?」

何故か慌てる天使。

「いいえ。僕達は決めました。貴方の為に祈りを捧げると」

篝は一瞬ポカーンとして、自分の内側に意識を向けた。

子供達の声が聞こえる。

子供達に分け与えた魂の欠片をとおして。

本心から、自分へ祈る心の声が。

篝が龍の瞳を開く。

「うん…。わかった。じゃぁ、名前をつけようか」

篝が全員を見渡す。

「トスカ」

「はい」

「君の名前は、“謡”。君の中の歌声からつけた」

「ありがとうございます」

トスカがペコリとお辞儀をした。

「次はジョージ。君の名前は“典夜”。皆を支え、引っ張っていく君にこの名前をあげたい」

「喜んで」

篝は十八人全員に名前をつけていった。

女の子には音楽にかんする名前を。

男の子には文学にかんする名前を。

与えられた名前は、子供達の魂にとけて、一つになった。

その祝福は、新たなる拠り所。

新たなる信仰の礎。

「天使に生まれ変わった君達が、光
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ