四十二枚目
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
少女は、目を覚ました。
辺りを見渡すと、仲間達が眠っていた。
硬い床ではなく、大きなマットの敷かれた部屋だ。
「ここは…何処…」
少女は近くにいた赤みがかった茶髪の女の子の肩を揺り動かす。
「起きて、起きてクリス」
「んぅ………トスカ…?」
クリスと呼ばれた少女が目を開く。
「ぅっ………」
クリスが体を起こす。
「ここは?」
「わからない。私も起きたばかりなの」
二人が人数を数えると、十八人。
一人足りない。
「イザイヤ…逃げ切れたかな…」
「大丈夫よトスカ! イザイヤは剣士だもの!」
二人は残りの十六人を起こした。
「なぁ、これからどうするんだよジョージ」
目付きの悪い金髪の男の子が、黒髪の男の子に問いかけた。
「わからない。僕達は生きていて、誰かに助けられた。
誰に助けてもらったかはわからないけれど……」
十八人が車座になって考えていると、その中央に闇が現れた。
暗い暗い虚無が晴れた時、そこには神々しい光を放つ異形の天使がたたずんでいた。
「目が覚めたか、龍の血を分けし子供らよ」
背丈は自分達とそう変わらない。
ただ、龍の尾や翼を持っている。
「俺の名は篝。祝福の龍セルピヌスを宿す者だ」
その突拍子のない言葉は、何故か子供達の中にスッと解けていった。
「君達は一度死んだ。故に俺が甦らせた」
天使がパチンと指を鳴らすと、子供達の背から純白の翼が、腰から尾が、手足から鱗が、額から角が、頭から光輪が現れ、瞳孔が縦に割けた。
「君達を甦らせた時、抜き取られた因子をセルピヌスの祝福でカバーした。
そのせいで君達はニンゲンではなくなってしまった。謝罪する」
ぽかんとする子供達の中央で、天使は黒い翼を広げた。
「俺は、天使であり、堕天使であり、悪魔であり、龍でもある。
教会に属していた君達には酷かもしれないが、きょうから俺の領地で…この館で過ごしてもらう。
何か聞きたい事は?」
そこでトスカが手をあげた。
「あ、あの! イザイヤは! 私達の仲間は無事なんですか?」
「無事だ。だがイザイヤは悪魔に転生した。
しかし些細な事だ。君達を殺した人間より優しい悪魔が主だ」
「そうですか…いえ、イザイヤが生きていてくれたら、それだけで十分です」
「君達は、悪魔は人間の敵だと教わった筈だ。
でもね、天使だって絶対的な人間の味方じゃない。
悪魔や堕天使も絶対的な悪じゃない。
だから、こんどイザイヤに会ったら、彼が悪魔だろうと、優しく受け入れてあげてくれ」
はい! と子供達が返事をした。
「ふむ…では館の地図を置いておく。俺は書斎に居る。
何か
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ