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許されない罪、救われる心
159部分:第十四話 戻ってきたものその十一
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 その微笑みはそのままだった。104
「その他には」
「じゃあ本当に」
「私達を」
「過去は過去だよ」 
 そしてだった。葉月はこうも言ったのだった。
「大切なのは今だよ」
「今・・・・・・」
「そしてこれからだよ。だからね」
「ええ・・・・・・」
「おかえり」 
 また微笑んでの言葉だった。
「よく帰ってきてくれたね」
「うん・・・・・・」
 如月は葉月のその言葉にもこくりと頷いたのだった。そしてだった。
「さあ、自分の席に着いて」
「行きましょう」
 弥生も声をかけてきた。
「そこにね」
「勿論君達もね」
 葉月は長月達三人にも声をかけた。
「行こう、席にね」
「あ、ああ」
「じゃあ」
「私達の席に」
 こうしてだった。彼女達は自分達の席に向かった。だがその机も椅子も落書きがこれでもかと為されゴミも撒き散らされていた。しかし。
 弥生と葉月はだ。まずゴミを払ってだ。それからだった。
 ベンゼンと布を出してそれで落書きを拭き取ってだ。あらためて彼女達に言った。
「大丈夫だからね」
「安心して」
「そこまでしてくれなくても」
「それ位私達が」
「するから」
「そうするの?」
 弥生は彼女達の言葉を受けて応えた。
「如月達が」
「自分の席だし」
「だから」
「するわ」
 こう言ってだった。弥生達からその布を受け取って自分達でするのだった。そうしてそのうえで自分達の席に着いたのだった。
 だがその彼女達にだ。岩清水はまだ仕掛けた。
「絶対に許したらいけないよ」
「こんな連中何があっても」
「許してたまるものですか」
「これで終わりじゃないからな」
「見てなさいよ」
 四人を取り囲んで言う。しかしだった。
 弥生は彼等と如月達の間に入った。無言でだ。
 そして岩清水を見据えるのだった。もう引くつもりはなかった。


第十四話   完


                 2010・10・14

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