第六幕その九
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「この前結婚したそうです」
「そうですか」
「はい、ですから」
それでというのです。
「何といいますか」
「では日笠さんにも良縁があらんことを」
「そうですね。そして先生にも」
「僕はないですよ」
今回も本当に気付いていない先生です。
「こうしたことは」
「縁がですか」
「女性にもてたことないので」
恋の相手としてはというのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、本当に」
そこはというのです。
「僕に結婚はです」
「ないですか」
「それはありません」
先生は日笠さんに笑顔でお話します。
「もうわかっていますから」
「そうですか。ですが」
「そのことはですか」
「実は違ったりしますよ」
「だといいんですがね」
「きっと」
このことは強く言う日笠さんでした。
「ですから諦めないことです」
「絶対だと思いますけれど」
「世の中絶対はないって言いますよね」
日笠さんは先生がよく言うお言葉をここぞとばかりに出しました。
「そうですよね」
「それはそうですが」
「ですから」
「きっとですか」
「はい、先生にも良縁があります」
「一生ないと思っていても」
「違う筈ですよ」
本当に必死に言う日笠さんでした。
「本当に」
「だといいんですが」
「こうしたことは人ではわかりませんし」
「絶対と思っていても」
「ですから」
「そう言われましても」
先生が思うにはです。
「僕はです」
「女の人にはですか」
「縁のない人生でして」
「これからもですか」
「そうなので」
「それは主観だと思いますから」
「僕もやがてはですか」
また言った先生でした。
「本当にそうだといいですね」
「きっとそうなりますから。それに」
「それに?」
「リニアモーターカーが実用化したら」
その時のこともお話した日笠さんでした。
「一緒に乗りませんか」
「僕とですか」
「そうしてくれませんか」
「僕でよかったら」
先生は日笠さんに紳士的な物腰で応えました。
「宜しくお願いします」
「その時を楽しみにしていますね」
「はい、実用化された時は」
「二人で乗りましょう」
「皆とも乗りますが」
ここでも彼等のことを忘れない先生です。
「日笠さんとも」
「二人で」
「是非共」
お友達でと応えた先生でした、そうしてです。
先生達は日笠さんと一緒に鉄道博物館の中を巡っていきますが日笠さんは出る時にこんなことを言いました。
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