第6章:束の間の期間
第191話「薄れて行く境界」
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し、マーリンにそれはないだろうと言われていた。
そして、実際にそうだと言われ、一人納得していた。
「やっぱり、地道に調べるしかないのね」
「今までにない事例だから、それが妥当だろう」
分かっている事の方が少ないため、地道になる事は仕方がない。
そう判断して、鈴は溜息を吐く。
「考えるのは家でやった方がいいわね。それじゃあ、私は帰るわ」
「私達も家で考えましょうか」
「そうだねー。……ところで、鈴ちゃんって今はどこに住んでるの?実家って別の場所にあるんでしょ?」
「今はさざなみ寮に居候させてもらってるわ。……あそこもなかなか人外魔境ね」
世話になっている寮を思い浮かべる鈴は、どこか遠い目をしていた。
傍らにいる那美は、心当たりしかないのか苦笑いをしていた。
「そういえばさざなみ寮って……まぁ、別に気にすることでもないわね」
「じゃあ、あたし達も帰ろっか」
さらっとさざなみ寮事情を流し、優輝達は帰路に就く。
「分かったのは霊脈が強化されていた事だけ……全然進展しないねー」
「その霊脈も境界が薄れた影響の可能性が高いわ。……実質、何も分かっていないも同然の調査結果よ。尤も、この程度で分かったら苦労しないけど」
全くの未知の領域。
それは手探りでないとわかるものもわからないものだ。
影響が出ている事がわかるだけでも、儲け物だ。
「……ジェイルから連絡が来た。調査が終わったらしい」
「あら、何か分かったのかしら?」
「不可思議な現象なら見つかったらしい」
そういって、優輝はジェイルから届いた調査結果をリヒトで投影して映し出す。
「とある無人世界に、火山の魔力版のような地帯があるらしい。そこから計測できる魔力が、今までよりも大きくなっていた」
映し出された映像には、火山地帯のように荒れた地帯が映されている。
溶岩等の代わりに、濃密な魔力がそこらに漂っていた。
「でも、火山のようなものなら、偶然って可能性は?」
「ない、との事だ。この地帯は、魔力が大きくなると大気が荒れ狂うらしい。しかし、その状態にならずに魔力が大きくなっている」
「……異常がない事が異常、ね」
それは、現世と幽世の境界と同じだった。
本来なら多大な影響を及ぼす事象のはずが、一切の影響を出していないのだ。
霊脈が強化されるなど、副産物の影響はともかく、致命的な事態にはなっていない。
それが、異常だった。
「境界と同じだね」
「次元世界中を探せば、同じような異常が他にもあるかもな」
同じ類の異常が見つかった。
それは大きな収穫だった。
例え、揺れそのものについて分か
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