第6章:束の間の期間
第191話「薄れて行く境界」
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緋雪の姿をした妖が現れた場所だ。
椿と葵は直接行っていないが、優輝から場所は聞いているため、葵が急行した。
「霊脈の変化による影響はあるかしら?」
「それも調べている所よ。妥当な所は、植物の生態系に変化がある程度だけど……」
「そっちは私が調べるわ。貴女は別の事を」
「草の神の貴女の方が適任だものね。任せるわ」
鈴と椿が、会話しながらも次々と作業を続けていく。
「優輝は霊的な分野を鈴に任せて、物理的な側面から霊脈周辺の影響を調べて。那美は……そうね、鈴の指示を聞いて動いて頂戴」
「私だけ具体的じゃない!?」
「調査系じゃ、那美はちょっとね……」
「うぅ……自覚してるだけに辛い……」
言っている事は正しいだけに、那美は肩を落としながらも鈴の手伝いをする。
優輝も言われた通りに調査を始めた。
「(さて、何かわかればいいのだけど……)」
「戻ったよー」
「ちょうどいいわね」
しばらくして、葵が戻ってくる。
それと同じくらいに、椿達も調査が終わる。
「瘴気は見当たらなかったよ。大門がある京都だったから、って考えは当たりだと思うよ。そっちは?霊脈の影響とかは大丈夫だった?」
「ええ。至って普通の影響よ」
瘴気はなかったと葵が告げる。
その事実に椿は驚く事なく、自分達の調査結果を伝える。
「霊脈が強化され、生態系がその影響を受けた。……それ以外にないわ。その影響も、至って妥当なものだから、揺れの影響は霊脈だけと見るべきね」
「そっかー。何かわかればよかったんだけどね」
「さすがに簡単には分からないわ。……まぁ、本来私一人で調べようと思ってたから、手伝ってくれただけでもありがたいわ」
霊脈が強化された事と、その影響があった事以外、収穫はなし。
揺れの影響は霊脈以外なかったのだ。……一つ分かっただけでも、儲けものだが。
「……とりあえず、霊脈を活用するのは断念した方がいいわね」
「まぁ、警戒するに越したことはないわ。歯痒いものはあるでしょうけど、妥当だわ」
揺れの影響がどこまであるか分からない。
そして、その揺れも一度とは限らないのだ。
そんな揺れの影響を受けた霊脈を活用するのを断念するのは、おかしい事ではない。
「……それで、どうなの?」
「どう、とは?」
鈴が優輝に主語抜きで尋ねる。
「今回の揺れの原因についてよ。心当たりはないのかしら?」
「ないな。パンドラの箱と同じくな」
「……そう。マーリンの言う通り、貴方達でも知らないのね」
鈴はここに来る前、優輝達……厳密には、管理局の関係者なら何か知っていると思っていた。しか
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