第6章:束の間の期間
第191話「薄れて行く境界」
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能性は高いと椿と葵は考えた。
「とりあえず、ジェイルに何か異常が起きていないか調べるように頼んでおいた。こっちはあまり自由に動けないからな」
「そうね。……それはそれとして、私達はどこから調べるべきかしら?」
「妥当な所は八束神社だろう。霊脈もあるしな」
「そうだね。鈴ちゃんもいるかもしれないし」
転移なしですぐに行ける場所と言えば八束神社ぐらいだった。
霊脈が集束している場所はその周辺地域にとって霊的な意味で要となる場所。
霊術を扱う優輝達が重要視する場所なので、調べるのは当然だった。
「……やっぱり、来たわね」
「そっちこそ、来てたのね」
「用件はさっきの揺れに関して、かしら?」
「目的は同じね」
八束神社に着くと、そこにはやはりと言うべきか鈴がいた。
那美も手伝いのためかついてきていた。
「地震でもない謎の揺れだもの。こういうのは調べておかないと」
「手伝おうかしら?」
「大丈夫よ。昨日の内に大体把握していたから、それと比較すればいいだけだし」
既に、鈴は調査のために霊力を巡らしていた。
会話しながらもそれは続いており、程なくして調査が終わった。
「……霊脈が強くなっているわ」
「なんですって……?」
「今の所それ以外に変化はないけど……おそらく、境界が薄れた影響かしらね」
霊脈が強くなる。
それはつまり、八束神社の霊的価値が上がったと言う事になる。
そうなると、怪異の類を引き寄せやすくなってしまう。
霊脈の力を有効活用すれば、引き寄せられる程度の怪異は容易く退けられるが。
「霊脈が強くなるって……おかしい事なの?」
「人が一日で子供から大人に成長したようなものよ。霊脈は本来なら年月を掛けてゆっくりと変化していくもの。急激に変わる例もあるけど、その場合、霊脈は暴走するか死ぬわ」
那美が疑問に思い、その疑問に椿が答える。
霊脈は様々な要因からその存在を確立している。
そのため、地震などでも霊脈に変化は訪れる。
霊的干渉を行えば、霊脈を一気に強化できるが、暴走する危険もある。
現代においては、自然現象によって霊脈は弱くなるのが普通だった。
大きめの地震などで、新たな霊脈が出来たり強化される事もある。
しかし、それらは微々たるものなので、今回のような事例は異常だった。
「幽世の瘴気は出ていないの?」
「ここに来る道中はなかったわ。多分、大門がある京都だから瘴気も湧いたのだと思う。もしかしたら、門があった場所から湧くのかもしれないけど」
「門があった場所……葵!」
「了解!行ってくるね!」
八束神社から一番近い門があった場所は、
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