第6章:束の間の期間
第191話「薄れて行く境界」
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会談で取り決められ、優輝達だけでなく地球在住の魔導師は監視がつく。
他にも取り決められた事から、転移魔法で移動は許可なしでは禁じられていた。
緊急時ならそれすら無視して使う所だが、今回は使う事はなかった。
「……状況から見て、さっきの揺れで幽世との境界が薄くなった可能性が高い」
「同感ね。揺れの直後に、瘴気が出てる事が判明していたもの」
「じゃあ、空間的な揺れだったのかな?」
葵が推測としてそんな言葉を述べる。
〈……いえ、空間の揺れであれば、それは次元震と似た性質を持つはずです。ですが、私が解析しても、今までにないケースでした〉
「……つまり、まったく未知の揺れって事だね?」
〈そうなります〉
しかし、その推測はリヒトに否定される。
同時に、リヒトも今まで経験した事がないケースの揺れだということがわかる。
「リヒト、本当に初めてのケースか?」
〈……はい〉
「………」
念を入れるように、優輝がもう一度聞く。だが、リヒトの答えは変わらない。
「……優輝?」
「“未知”という部分においてなら、初めてではないな」
〈どういう事でしょうか……?〉
少し優輝は考え込み、そんな言葉を漏らす。
「揺れと関係があるかは分からないが、正体が掴めないという点においては、以前襲撃した男の性質と似ている」
「まさか、今回も似た類だと?」
「さすがに短絡的すぎないかな?」
結びつけるにしては、あまりにも短絡的だと椿も葵も思った。
原因及び正体が不明なだけで同じ類だと思うには、理由としては確かに弱い。
「……次元震ではない、実際に揺れた訳でもない。しかし、確かに“揺れた感覚”があった。リヒト、“空間としての揺れ”はあったか?」
〈……一応は、空間に乱れが起きたと思しき形跡が解析で確認できました〉
「……裏を返せば、そこまでしか分からなかった訳か」
〈はい〉
確認するように、優輝はリヒトに尋ねる。
次元震ではないが、空間的な揺れは観測出来た。
その答えに、優輝は納得するように頷く。
「魔力も霊力もさっきの揺れからは感じ取れなかった。そして……」
〈マスター、返信が来ました〉
リヒトが優輝の言葉を遮るように伝える。
実は、家を出る時にクロノに向けてメッセージを送っていたのだ。
その返事が、ちょうど今返って来た。
「……やはりか」
「一体、なんなの?」
「クロノに対して揺れに関して聞いておいたんだ」
クロノに尋ねた事は、大きく分けて二つ。
優輝達も経験した揺れがあったかについてと、その揺れに関して知っている事。
答えの返
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