第6章:束の間の期間
第191話「薄れて行く境界」
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最近は、そんなやり取りもできない程、事情が混み合っていたからだ。
「まずは揺れそのものについて何なのか突き止めないとな」
「その影響とか規模もね」
「それなら、もうテレビでやってるみたいだよー」
情報をできる限り伝えるためか、テレビなどの一部の営業は既に再開している。
葵はそのテレビを見て、揺れについて報道している事を伝えた。
「揺れの規模は……少なくとも、ここから京都までか」
「……それに、幽世の瘴気が湧いているみたいね。こっちは影響かしら」
「皆気になっているみたいだねー。明らか地震と違うし、当然だけど」
放送で映っているのは京都。
映像には、黒い霧……幽世の瘴気が映っていた。
「……やっぱり、境界が薄れている事が関係しているのかしら……?」
「そう考えるのが妥当だろうね」
「早めに行動した方が良さそうだな。今はそこまででもないが、幽世に疑いの目が向けられるかもしれない。さっきの揺れの正体を確かめないと」
テレビを見ながら、優輝はそういう。
映像には、中継が終わってスタジオの人達が思い思いの感想を述べていた。
その中に、若干幽世の方を疑っている旨の感想があった。
だから優輝はすぐに行動するように促した。
「ええっ!?どうして?」
「揺れの直後に瘴気が発生している。原因と思われなくても、何かしら関係があると見られるのは至極当然だろう」
「……あー、確かに」
優輝の言葉になぜなのかと、驚く葵。
しかし、優輝が続けて言った理由に、あっさりと納得する。
「まぁ、この際疑われるかどうかは気にするだけ無駄だ。問題なのは、揺れの原因や正体が見当つかないことだ」
「……そうね。地震でもなく、空間が揺れたようなもの。……不可解ね」
「優ちゃん、先に言っておくけど、今回の揺れに関しては、あたし達にも心当たりがないよ。少なくとも、あたしとかやちゃんでは、この数百年生きてきて今回みたいなことは一度も遭遇した事がない」
未だに揺れについて放送するテレビを流し見しつつ、優輝達は会話を続ける。
残念ながら、揺れが厳密にどういったものなのか、優輝達は心当たりがなかった。
「……とりあえず、実際に確かめるか」
「そうね」
「母さん、父さん。ちょっと出かけてくる。遅くなる場合は念話で連絡を入れるから」
「わかったわ」
「いってらっしゃい」
結局自分の目で確かめるしかないと思い、優香と光輝に断りを入れて出かける。
転移系の魔法は、監視下においては使ってはダメなため、そのまま移動する。
「……京都に行く事は出来そうにないな。仕方ない、海鳴市内で我慢するか」
「まぁ、仕方ないわね」
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