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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
ミライトーク『機械文明』
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ていなかった。

エレン「まさか私たちの大地の下がこんなことになっているとはな」
ティグル「……ああ」

赤い髪の少年が驚くのも無理はない。
なぜなら、今目の前にある『建造物』は、どうあがいても自分たちの技術力では到底たどり着けない『極み』でもあるのだから。
均一な幅の立体建造物。それらが全面に鏡が張られている。もはやこれは芸術品といっても過言ではない。
どうやってこの建物は造られているのだろう?
ライトメリッツの公宮…いや、ジスタート王都シレジアの王宮でさえこれほどの高さは無い。
今まで自分たちが見てきたものと違う世界を目の前にして、ティグルは軽くつぶやいた。

ティグル「ブリューヌの、いや――大陸の真下にこんな広い空間があるとは思わなかったよ」
ソフィー「ここまで広い空間は大陸の……いえ、世界中どこを探しても見つからないでしょうね」
エレン「昔はここにヒトが住んでいたのか?」

見渡せば、ヒトが腰掛けるために作られたような『椅子』がある。
それだけじゃない。
巨大な建物をよく目をこらえてみれば、様々な用途で使っていたと思われる内装をしているのがわかる。
一人用の住まいが『一つの建物』に集まったような施設もある。
大勢の人を一か所に集めて演劇を行うであろう空間もある。
他には、ティグル達には到底創造もつかない用途の設備がたくさんあった。

エレン「今私たちがいる建物みたいなのが、向こうのほうまでずっと続いているとしたら――」

思わず銀閃の髪の少女は固唾を呑む。この文明を築き上げた人とその英知に。

エレン「相当な数の人間が、ここにいたことになるな」
ソフィー「そうね」

あまりの壮大さに、この見目麗しき金髪の女性も同意する。
無理もない。光景をまざまざと見せられただけで、自分たちの常識を覆されてしまったのだから。

ソフィー「ただ人の数もさることながら、この建物をあたり一面に作るなんて尋常ではないわ」
エレン「私たちには想像できない世界だな」
ティグル「独立交易都市や、外大陸からの舶来品で、俺たちには使い方が分からない品々がたくさん流れてきたけど――」

詳細は知らなくとも、該当するものさえあれば、ルーツが何処から来たのかは、流石に容易に察することができる。

ティグル「この世界が由来だっていうなら、納得だってできるな」
ソフィー「ええ。けれど、いつの時代でもそうであるように、文明というものは、ヒトの業によって栄え、ヒトによって滅ぶものなのね」

いかなる繁栄を遂げようと、ヒトがかかわる以上『インフレーション』つまり、膨張が起きる。
それも、風船の中の空気が限界以上に達するほどの。
大気を汚し、海を濁し、森を焼き払う人間の所業は、魔物という存在以上におぞましい。

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