暁 〜小説投稿サイト〜
泡沫の島
泡沫の島 4話「ユキ」
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
私。ここで上手いこと言えばサヤさんが泣き止むはずだ。

 と、とりあえず、できるだけ自分で思う優しい笑顔を浮かべてみる。……たぶんさっきよりもぎこちなく。

 そして、極力変なことを言わないように意識して、そしてかつ素直に私は返事をする。

 「誰も邪魔だなんて思ってませんよ。というか、私的にはむしろ居て欲しいというか、いないと困るというか……。」

 「う、うあぁぁぁぁぁぁぁん!」

 ……私も泣きたい。何で悪化するんですか。コレどーすりゃいいんですか?詰みゲーですか?

 マジ頼むんで分かる方、誰か教えてください。


 
 そんなこんなで、もう下手なこと言わずとりあえず泣き止むまで待ってみました。

 「もう、大丈夫ですか?」

 「う、うん。ありがとユキちゃん。」

 「まー私は別にいいですが。ただ…料理、冷めましたね。」

 「う、うぅ。すまんです。」

 「いえ、珍しいもの見れて良かったです。私料理温めなおしますんで、サヤさんは顔でも洗ってきてください。」

 「うん、ありがと。」

 そう言ってサヤさんは去っていった。

 …………正直、疲れました。つーか、サヤさんが何で泣いたのか未だに分かってなかったり。

 まーどうせくだらないことでしょう。例えば、私って居ても意味無い?とか。

 とにかく、元気になって良かったです。



 …シュウさん。正直あまり期待していませんでした。

 私はあの時は既に楽しいことなんて諦めてました。ましてや笑うなんて考えもしなかった。

 だからこそあの時、同じような境遇なのに楽しそうに笑うあなたが羨ましくて、憧れ、あなたを殺したくはなかった。

 どうせどちらかが死ぬなら、それは私の方がいいと。

 でも、私はあなたに誘われてからの毎日がすごく楽しいです。

 あなたが誘ってくれなければ、私はいずれどこかで一度も笑うことなく死んでいたでしょう。

 とても感謝です。抱かれてもいいです。むしろ抱いて。

 ですから……あなたがあることを隠しているのを私は知ってます。

 幸いサヤさんは気付いていないみたいですが、他の皆さんも何となく気付いてる節があります。

 ……………シュウさん。いつか、あなたの口から聞かせてもらうまで、その事については触れないでいようと思います。

 ですから…………あーいや、やっぱいいです。

 あなたの思う通りに生きてください。私はそれに従うと決めたのですから。







 ………でもサヤさんはあげませんよ?あの子は私の嫁にする予定ですから。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ