泡沫の島 4話「ユキ」
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し。一緒に来てくれたらもっと楽しそうだから。いい?」
「…えっと、それは施設を裏切ってあなたの妾になれ、ということですか?」
「……妾じゃない。仲間。それに命令じゃなく、ただ友達になってくれれば良いなって。どう?」
「仲間……。」
「そ、仲間。」
「……私に反対する権利は無いですが、いいんですか?」
「もう決めたからね。どうしても嫌ならこのまま施設に帰っても良いけど。多分こっちの方が楽しいよ?…いつか心から笑える日が来ると思う。」
「……逃げ切れると本気で思ってるのですか?」
無理だ。どう考えても逃げ切れるとは思えない。彼だってそれくらい分かっているはずだ。…しかし…
「……わかりました。それならばこれからあなたと愛の逃避行と洒落込みます。」
「うん、これからよろしく。えーと…改めて、僕はシュウって呼ばれてる。」
「よろしくお願いします。私は先の副将軍…」
「ユキ、だったよね?確か前に名簿で見た。」
「……ボケまで殺された…。」
そうして、私は仰向けになったまま彼の差し出した手を取る。
その顔はとても穏やかな笑みを浮かべていて、私はなんとなく、この人に最後まで付いていこうと、
そう、誓った。
φ
「……とまぁ、こんなとこですかね。」
独り言を呟きながらもきっちりと料理完成。さすが私。
さて、サヤさんの様子でも見に行こう。
私はテーブルのある方へと向かった。そこには、
「……はぁ…。」
時々溜息を吐きながらもひたすらテーブルを磨きつづけるサヤさんの姿が。
…………。
「………フゥ…。」
………いつまで磨き続けるんだろう。ほっとけばずっと磨き続けるんじゃないだろうか。
どうしよう。このままずっと彼女が気付くまで見ていたい…。
……でも、
「サヤさんサヤさん?聞こえてますか?おーい。サヤさーん?」
「……ん、んぇ?」
「いつまでテーブル拭き続けるんですか?空が反射して見えるまでですか?」
「あ、あぁ!あたし、またボーッとして…。」
私は声を掛けた。ほっとくと、サヤさんがまた落ち込んでしまいそうなので。
「……テーブル磨きに精を出すのも良いですが、そろそろ料理を運んでくれると私としては超ハッピー。」
「あぅ。ごめんよぉ。今すぐやります。いや、やらせてください。」
サヤさんはとぼとぼと戻ろうとする。
私はその背中に無意識に
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