泡沫の島 3話「カズ」
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の人生を完全に変えてしまう出来事が。
それでも、さすがにこの施設に来たからというべきか、奴はそれなりに強かった。
力もそれなりにあり、体のこなしも悪くは無いというのが基礎訓練で見て取れた。
ただ、それでも特別目立つわけでもなく、言うなれば平凡というやつだ。
入所から2日が過ぎ、3日目の午後。
「今日は一対一の模擬戦闘訓練を行う。能力の使用も自由だ。気を抜くと大怪我するぞ!各自、ウォーミングアップを怠るな!尚、ここでの成績は後々仕事を任せる上で重要な判断材料になる!それじゃ、始めるぞ!まずは…。」
名前を呼ばれた二人が対峙し、合図と共に激しい戦闘を始めた。
それからも次々呼ばれていき、いよいよ最後の番が来る。
「次で最後の組だ。カズ!それと、シュウ!前へ出ろ!」
「はい。」
「…はい。」
俺とシュウはある程度の距離を取って向かい合う。
「へへへ、テメェもついてねぇなぁ。入所早々俺とやりあうなんざよ?」
「………。」
「…んだよ、だんまりかよ。悪ぃが俺は手加減が下手だぜ?精々死なないように……」
「無駄口を叩くな!準備はいいな?それじゃ……スタート!」
「行くぜぇぇぇ!」
掛け声と同時に能力開放。俺の”力”は『ブースト』と呼ばれる、能力者の中では最も多い系統。効果は身体能力の飛躍的向上だ。
しかし、俺のは他の奴とは違う。
その向上の上がり幅が桁外れなのだ。他の奴が1から10に上がるとすれば、俺は70、80くらい。
これが俺が白兵戦最強と呼ばれる所以。
30mはあったかと思われる距離を一秒足らずで疾走する。
懐に飛びこむと同時に超高速で腕を脇に構え----------
思いっきり、拳を奴の腹に打ち抜くように叩き込んだ。
奴は数Mほど吹っ飛び、そのまま地面に崩れ落ちる。この間、僅か三秒。
「…………。」
「ゲホッ!グッ!…ぅ、はぁ、はぁ…。」
咳込む奴の姿を見て、俺は一気に興味を無くしていった。
「……一撃でダウンかよ。…つまんねぇ。」
「…………ぅ、うぐ…」
俺は教官達のところに戻ろうとしたが、そこで動く影があった。
狩野だった。狩野は、今までずっと腕を組んで静観していたが、ゆっくりと腕を解き、未だ地面に転がる奴の元へと歩いていった。
そして、奴の目の前で立ち止まり、こう言った。
「……シュウ。全力を出しなさい。このままではデータが取れない。」
「…………。」
「大丈夫。彼らは優秀な兵士の卵達だ。わざわざこの
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