前哨戦、そして決戦へ……
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っちばかりに任せてられないわ!こっちも発艦、行くわよ?』
『応さ、いつでもいいよぉ!行っけええぇぇぇーーーーーっ!』
第二艦隊の艦載機もそれぞれ、第一艦隊の航空隊に合流。
『基地航空隊、高高度爆撃初弾投下、着弾までカウントダウン開始!』
基地航空隊の高高度爆撃の着弾から、流れるような航空攻撃のオーケストラが始まる。高高度爆撃の奇襲で水柱を巻き上げ、敵を動けなくする。そこにタイミングを合わせたように低空に侵入した陸攻による機銃掃射の露払い、からの雷撃。攻撃を終えた陸攻隊は戦果を確認する事なく、速やかに海域を離れて帰還の途に就く。撃沈を確信しているからではない、『後続に巻き込まれて鱶(フカ)の餌になりたくないから』である。相手に反撃の隙は与えん、とばかりに今度は艦載機隊の戦闘機らが機銃を乱射。すかさず爆心地を避け、そこに流星や熟練の九七艦攻が雷撃をかます。そしてトドメとばかりに艦爆隊が上空からの逆落としで抱えた爆弾を叩き込む。頑丈さがウリの戦艦水鬼ですら、これだけの炸薬をぶつければ轟沈しても可笑しくは無い。寧ろオーバーキルの可能性すらある。しかし、敵はそんな姫や鬼と一線を隔す『ネームレベル』なのだ。
『っ!爆心地にて動く物体を確認!敵艦未だ健在!』
水煙が晴れた先で偵察機が見たのは、大した破損が見られない『リバースド・ナイン』の姿。その身体の前には黒い靄が立ち込める。そして異形の魔女が左手に携えた弓に矢をつがえ、その靄に矢を射ち込んだ。すると、その矢は艦戦に姿を変え、主を傷付けた不届き者を捉えんと空へと加速していく。その数、26。
『敵航空機発艦!数、フタジュウロク!』
「Shit!まだ出して来るか……しつっこい女ネー」
苛立ちを隠そうともしない金剛。
「発艦された航空機は所詮迎撃用の艦戦です、敵の反撃は無いわよ?金剛さん」
「そうです、未だ手数も火力も此方が上。戦艦の砲撃と私達の残してある第二次攻撃隊とで圧殺出来ます」
意見具申する赤城と加賀が言う事は尤もだ。この場の判断は旗艦たる金剛に委ねられた。往くべきか退くべきか……迷う金剛。
『金剛』
「っ!darling!?」
不意に飛び込んで来たのは最愛の夫の声。
『どうせウジウジ迷ってんだろ?お前は誰よりも優しいし、責任感が強いからな』
あぁ、何故この人はこんなにも私の心を見透かして来るのだろう……そんな思いが金剛の中を駆け巡り、嬉しさと気恥ずかしさと、そしてちょっぴりの怒りが金剛を支配する。
『現場に最善は無い。その場の判断で選んだ選択が、後の反省で最善か否かを判断されるだけだ。……安心しな、失敗したって俺がフォローしてやる』
“それとも、俺はそんなに頼り無い男か?”
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