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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン2 魔界の劇団、開演
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る。「溜め」の意味もあるが、それ以上に発動時にあの伏せカードに動きがないかとの確認の意味もある。何もアクションを起こさないことを確かめてから、次の仕掛けに取り掛かった。

「『それでは此度の対戦を祝し、我らが歌姫に1曲奏でていただきましょう。メロー・マドンナはそのペンデュラム効果により、1ターンに1度1000のライフを支払うことで新たなる団員をデッキから手札に加えることができます。ただしこの効果を使うターン、歌姫は団員以外が舞台へ上がることを禁止いたします』」
「いいだろう、その効果も通しだ」

 鳥居 LP4000→3000

 いまだ伏せカードは動かない。その効果「も」、という言い回しは単なる言葉のあやか、それとも何か含まれた意味があるのか。はたまたそう読むことをさらに裏読みしての心理戦ということもある。ソリッドビジョンのない静寂のデュエルでは、相手の表情を、動きを、行動に移るまでのわずかな間を……すべてを読み取ったうえでの心理戦の持つ比重が大きい。

「『それでは私が呼び寄せるのは、栄光ある座長にして永遠の花形、魔界劇団−ビッグ・スター。そしてこれより行われますは、この最上級モンスターを1瞬にして舞台へと招く魔界劇団の目玉。整いましたるスケールは0と8、よってレベル1から7までのモンスターが召喚可能。ペンデュラム召喚、魔界劇団−ビッグ・スター!』」

 魔界劇団−ビッグ・スター 攻2500

 サーチされたそれを、流れるような動きでメロー・マドンナの右上、右から2番目のモンスターゾーンに縦向きで配置した。召喚無効のカウンターカードが存在しないことを無言で確認し、次の効果を発動する。

「『ではここで、ビッグ・スターの効果をお目にかけましょう。このカードが場に出た際、相手は魔法、罠を発動することができません』」

 どれだけ言葉で盛り上げようと、やっていることは机を前に数枚のカードを置いて1人で無理にテンションを上げているだけである。おまけに観客もおらず、唯一の対戦相手はどうもノリが悪い。鳥居自身もつい昔の調子でデュエルを始めてしまったことに対する後悔など思うところは色々とあるが、ここまできて今更引っ込みがつけられるわけがない。そちらの方がよほど気まずいというのももちろんだが、何よりここまでやっておいて今更いつもの調子に戻るなどとは彼なりのプライドが許さない。そうだ、人気の出ない頃はいつもこんな調子だった。真面目に見る気もないほんの数人の客を相手に全身全霊で演じて魅せる、そんな下積み時代の記憶も無駄に蘇る。

「『ビッグ・スターの効果発動!1ターンに1度デッキから任意の魔界台本1枚を選び、そのカードをフィールドにセットすることが可能となります。今宵の舞台に相応しき演目は……』」
「いや、ここでリバースカードを発動す
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