ターン2 魔界の劇団、開演
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る。
「……なるほど、話は分かりましたよ。それで?いつ始まるんです?」
「明後日の午前0時。場所はほら、数か月前にニュースで見たろ?この近くにいる金持ちが、ここに避難用の巨大シェルターを作りますっての。その工事現場の中らしい……うまいこと考えたもんだ、いかにもデュエルモンスターズは怖いです、みたいなこと言ってる父つぁん坊やが場所の提供やってたなんてな。おまけにあそこは個人の土地だから、そうそう疑われない場所だったしな」
「あー、あの城みたいな家の。確かに、なかなか大きなヤマですねこれ。でも、ただのチンピラが何でそんなことまで知ってたんですか?」
大まかな話には納得したところで、ふと気になったことを聞く。これは大規模な話になるだろうに、なぜ口を割りやすい下っ端がそんなことを知っていたのだろうか。同じことは糸巻自身考えていたらしく、その疑問には肩をすくめてあっさりと答えた。
「サクラ頼まれてたんだとよ。なんでもあのチンピラの頭が出場するらしくてな、威圧になるからって子分全員連れてくつもりだったらしい。さ、他に質問がなければ、これからちょっとばかり忙しくなるからな。まずは鳥居、お前は正攻法からコロシアムの内部に突っ込んでくれ。アタシはここに出るような連中には顔が割れすぎてるから、すこし別口から当たってみる」
鳥居浄瑠は昼が嫌いだ。昼はいつだって、朝に飛び込んできた面倒事に対し本格的に向き合わなければならない時間だからだ。しかもこの日の仕事は、これまでやってきた上司のやらかしに頭を下げるレベルの話では到底終わりそうにない大物だ。彼が制服を脱いでの私服姿で訪れたのは、例のシェルター建設中の金持ちの自宅。表向きは実体化されたカードにより破壊された建物を復興する際の建設業で財を成した、このご時世では珍しくもなんともない小金持ちでしかない男の住む家の応接間だ。
いかにも成金趣味な家具に囲まれ柔らかすぎるソファーに身をうずめることしばし、おもむろにドアが開く。反射的に立ち上がった彼の目に、いかにも人のよさそうな小太りの中年男性がにこやかな笑顔を浮かべながら近づいて手を伸ばす姿が映った。その姿が事前に記憶しておいたこの家の主、兜大山のものと一致することを確かめ、その手を握り返す。
「やあやあどうも、話は聞いているよ。私の半生なんかを本にしたいだなんて、いきなりだったから驚いたけどね。ええと……」
「初めまして。柘榴出版の鳥居、と申します」
偽の仕事に、偽名すら使わない雑な変装。もしこの兜という男が事前に少しでも調べていたならば、柘榴出版なる会社は日本のどこにも存在しないことに気づいていただろう。普段の鳥居ならば絶対にやりたがらない雑な下準備だが、もとよりこの仮の姿をいつまでも維持する必要もつもりもない。重要
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