ターン2 魔界の劇団、開演
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スター 攻1000→究極伝導恐獣 攻0(破壊)
兜 LP3000→2000
「『そしてこの瞬間に此度の演目における陰の立役者、ミニマム・ガッツの更なる効果が発動いたします。この効果を受けたモンスターが戦闘破壊され墓地へと送られたことにより、相手プレイヤーにその元々の攻撃力分のダメージを!』」
兜 LP2000→0
「むぅ……見事だ、君のようなものがこれまで表に出てきていないことの方が意外だよ」
「お世辞として受け取っておきますよ」
再び声の調子を戻し、パッチリと見開いていた瞳も元に直る。この切り替えの早さは様々な役を演じ分ける必要があった前職に由来しているのはもちろんだが、いちいちその言動に目くじらを立てていては本気で何も進まないほどに問題ばかり引き連れてくる今の上司との付き合いを通じて学んだものも大きいと鳥居自身は分析していた。
「では約束の話だが、確かに君の実力は見せてもらったからね。いいだろう、どうにかしてみよう。開催日が明後日であることを考えると、どう転ぶにせよ明日の今頃までには君に結果が伝えられるだろう。君の連絡先は……」
「いえ、この時間にまた伺いますよ。楽しみにしています」
この善人相手ならば多少のリスクはあってないようなものだが、ここから先はもう少し裏の世界に近づく。万一のリスクを踏まえると、身バレの可能性に繋がる連絡先を明かすことは控えたかった。少し拒否の仕方が食い気味すぎて逆に怪しまれたかと後悔するが、幸いにもそんな考えは一切よぎらなかったようだ。
「わかった。私も明日ならば家にいるから、いつでも来てくれたまえ」
「ええ。それでは、これで失礼します」
そう言って会釈し、兜宅の門を再び鳥居がくぐった時にはすでに真正面に月が昇っていた。十分に距離を取り尾行が付いてきていないことを確かめ、そろそろ上司に報告だけ済ませておこうと携帯を取り出す。予想外に時間こそかかったものの、おおむね狙い通りコロシアムの内部に踏み込むことはできたからそう悪くない。
鳥居浄瑠は、夜だけはほんの少し好きだった。
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