機動戦士ガンダム
2288話
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そうなると、この女は一体どこでそれを知ったのやら。
そう思いつつ、俺は特に口を出すような事はせずにブライトと映像モニタに表示された女の会話を聞く。
『ホワイトベースの件については、ルナツーからの報告で既に受け取っています。まずは避難民の件ですが、クレイドルに移住するのはあくまでも希望者のみで、こちらとしては無理強いはしません。もしホワイトベースに残るという方がいた場合、こちらでは引き取る事が出来ませんので』
そうは言うものの、実際にホワイトベースに残りたいと主張する者が一体どれくらいいるのやら。
あ、でもホワイトベースはここで補給とかを終えたら、地球に行くのか。
地球に知り合いがいるのなら、このままホワイトベースに残るといった者もいる可能性もある。
「ええ、それで構いません。こちらも、これだけの人数を抱えてジオン軍と戦いつつ、地球に降下するというのは大変ですので」
『分かりました。それで次ですが、各種MSの補充パーツや弾薬、推進剤、それ以外にも各種消耗品といったところですか。こちらもすぐに用意させてますが、すぐにという訳にはいきません。また、そちらのMSに合わせてパーツの類を用意したり、場合によっては製造する必要があります。ですので各種データを取らせて貰いますが、構いませんね？』
それは、半ば拒否出来ないといった事なのは間違いない。
連邦軍のMSの各種データを取るというのは、ルナ・ジオン軍にとっても非常に有用だ。
本来なら、ブライトの立場としてはそれを認めるような真似は出来ないのだろう。
だが、今の状況を考えれば、それを認めるという選択肢しか残っていないのも事実であり……
「分かりました、お願いします」
結局、ブライトの口からはそんな言葉が出る。
「何を言っている！？ 連邦軍のMSだぞ！ そのデータを他国に渡す訳にはいかないだろう！ ブライト中尉、分かっているのか！？ これは責任問題だぞ！」
と、不意にリードがそう叫ぶ。
その叫びを聞き、え？ と思ったのは俺だけじゃなかった筈だ。
ホワイトベースのデータやMSのデータといったものを提供するという報酬があって、それによって各種補給作業を行うというのは、前もって決まっていた事だ。
勿論しっかりと契約書にサインをしたりといった事はしていないが、言わば暗黙の了解といった形だろう。
にも関わらず、何故ここでいきなりリードがそんな事を言うのか。
「おい、ブライト？」
ブライトに視線を向けるも、それに返ってきたのは戸惑いの表情。
この様子を見ると、ブライト本人もここでリードがこのような事を口にするとは思っていなかったといったところか。
そうなると、これは完全にリードの独断専行といった形になる訳だ。
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