第41話:親密となる方法
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ありがとうございます。」
そして京は一乗寺家でお茶をご馳走になり、賢が送ると言って井ノ上家にまで京について来てくれた。
「賢君、どうして伊達眼鏡なんかかけてるの?お洒落?」
「え、あ、違います。前よりマシになりましたけど、僕はまだまだ目立ちますから…」
新聞を読むとまだ賢のことは記事に出る“失われた天才”など今の賢を否定するような様々なことが記事に出ている。
「(デジモンカイザーだった頃の賢君より今の賢君の方が優しくて格好良いのに…)」
そう考えて、顔に熱が回る。
確かにデジモンカイザーだった頃の賢は能力的に優れていたが、今の賢の方が人として大事な物を沢山持っているというのに大人はそんなことも分からないのか。
「あ…」
帰りの途中に偶然、伊織と出会した賢と京。
「伊織、あんたどうしたの?」
「それは…」
伊織は賢に目を遣ると目を伏せた。
大輔との会話が脳裏を過ぎり、賢を見ることが出来なくなり、そのまま走り去ってしまった。
「ちょ、伊織!!あんた何なのその態度は!!戻って来なさーい!!!!」
京が怒声を上げるが、賢はそれを止めた。
「いいんです。僕がしたことを考えれば伊織君の態度は当然のことですよ」
少し寂しそうに笑う賢に京は胸の奥に痛みが走ったような感覚を覚えた。
「でも賢君は頑張ってるのにあいつは…賢君が話しかけようとしたら嫌そうにするし、本っ当に頑固ね!!はあ、明日大輔に相談してみよ…賢君、今日はありがとう」
「いえ、僕の方こそ。ご馳走様でした。とても美味しかったです。」
「いやいや…あれくらいで良ければいつだって賢君のために色んなお菓子を作ってあげるわよ!(って、これじゃあ告白みたいじゃなーい!!)」
言ってしまって後悔する京。
しかし言葉の意味に気付かなかった賢は普通に笑みを返した。
「ありがとうございます。明日もまた…頑張りましょう」
それだけ言うと、賢は去っていく。
京は去っていく賢の背中を見つめながら強敵だと確信した。
「(でも、だからこそやる気が出て来たわ!!自分を磨いて磨いて磨きまくっていつか賢君を振り向かせてみせるわ!!)」
闘志を燃やしながら空を見上げる恋する乙女、井ノ上京。
大輔とヒカリはまだまだこの2人の恋模様に巻き込まれそうである。
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