第41話:親密となる方法
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!大体…」
「…伊織、お前そろそろ黙れ」
声が低く、冷たく伊織を見下ろす大輔に伊織は口を閉ざした。
「お前が賢と行動するのが嫌なのも、賢に助けられるのも悔しいのは分かる。デジモンカイザー時代のあいつのやったことに一番怒っていたのはお前だからな。それくらいは俺でも分かる。でもな、賢は自分のしたことを忘れたことなんて一度もない。今は精神的な余裕をある程度取り戻しただけで罪悪感から解放されたわけじゃないんだ。カイザー時代のやったことばかり見て、今の賢のことを見ようともしないであいつの気持ちを勝手に決めつけて否定するのは止めろ。賢がお前に話さないのも、お前が賢が歩み寄ろうとすればあからさまに嫌な顔をするからだろ。話して欲しいならお前のその態度から直せ。」
「な…っ?」
「あいつはあいつなりにタケル達やお前に歩み寄ろうとしてるんだ。それをお前の勝手な勘違いであいつの気持ちを踏みにじるのは止めろ。これ以上あいつを悪く言うなら俺はお前を見損なう。」
冷たく伊織を見据える大輔の視線に伊織は何も言えなくなる。
「なあ、伊織。俺はお前を信じてた。お前なら今の賢を見て今は無理でもいつかは分かってくれるって、それなのにお前はカイザーだった頃の賢の罪ばかり見て、今の賢を見ようともしないでそんなことを言う。正直残念だった」
大輔はヒカリと共にこの場を去り、俯いたままの伊織だけが残された。
そして翌日、京は本宮家に寄り、大輔とヒカリの協力を得て手作りフルーツパウンドを作って一乗寺家に。
「うう…緊張する……でも頑張れ私。逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ…」
「はい」
インターホンを鳴らすと、賢がいきなり出て来た。
まさかいきなり本人が出て来るとは思わなかった京は箱を落としてしまうが地面に激突する前に何とかキャッチ出来た。
「えっと、すいません。驚かせちゃったみたいで」
「へっ!?いやいやいやいや!!私も急に来ちゃってごめんね!!これ、いつも助けてもらってるお礼!!フルーツパウンドを作ったの!!ヒカリちゃん達から手伝ってもらったから味は……っ!!?」
箱を開くと、さっきの衝撃で形が崩れたフルーツパウンドが姿を見せた。
「(さっき落とした時の衝撃でー!!?)ご、ごめんね!?作り直して…ああー!?」
京が言い切るよりも先に賢は形の崩れたフルーツパウンドの一切れを手に取って一口。
「け、賢君!!無理して食べなくて良いからそんな形が悪い奴!!」
「別に無理なんかしてませんよ?とても美味しいです。ありがとうございます京さん」
飲み込んで京に向かって微笑む賢の優しさに思わずジン…っとなる。
「あ、ありがとう…次はちゃんとしたのを持ってくるから!!」
「え?
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