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翠碧色の虹
第三十八幕:架け離れゆく虹
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近づき過ぎたのかも知れないわね」
時崎「え!?」

凪咲さんが呟くように話した。

凪咲「なんでもないわ」
時崎「すみません。実は−−−」

俺はさっきの出来事を凪咲さんに話した。

時崎「俺、どう答えたらいいのか分からなくて」
凪咲「そう・・・柚樹君と七夏、似てるわね」
時崎「え!?」
凪咲「柚樹君にとっての虹と、七夏にとっての虹。それだけの事かしら?」
時崎「それだけ?」
凪咲「柚樹君と七夏が、お互いの事を想って・・・」
時崎「いえ! 俺なんかっ!−−−」

凪咲さんは首を左右に振って、俺の言葉を止める。

凪咲「少し、距離を置いてみると、色々と見えてくると思うわ」
時崎「・・・・・」
凪咲「七夏の事なら、心配しなくても大丈夫。柚樹君は自分の気持ちをよく考えて、大切にしてくれるかしら?」
時崎「すみま・・・ありがとうございます」
凪咲「七夏もきっとそう思ってると思うわ」

凪咲さんは優しく微笑んでくれた。俺は一礼をして七夏ちゃんの所へ向かった。

時崎「七夏ちゃん・・・」

・・・けど、扉を前にして身動きが取れない。七夏ちゃんに会って話がしたいけど、今、会って上手く話せるのか? 

<<凪咲「少し、距離を置いてみると、色々と見えてくると思うわ」>>

時崎「凪咲さん・・・」

俺は、七夏ちゃんに会いたい気持ちを抑え、凪咲さんの言葉に従うことにした。少し、冷静になった方がいい。

自分の部屋に戻ったけど、何も行おうとする気がしない脱力感に襲われる。写真機を机に置き、そのまま机にうつぶせになる。自分が情けない。目を閉じてこれまでの事を考えようとするけど−−−

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

??「・・・君」
時崎「・・・・・」

誰かに呼ばれている気がした。

??「柚樹君」
時崎「んん・・・」

誰かに呼ばれている!

凪咲「柚樹君」
時崎「な、凪咲さん!?」

部屋に凪咲さんが居る。何か用事だろうか?

凪咲「ごめんなさい。勝手に入ってしまって」
時崎「い、いえ! 何か用事でしょうか?」
凪咲「お夕食、出来てます。柚樹君、なかなか居間に来てくれないから」
時崎「え!? 夕食!?」

時計を見る・・・21時半!?

時崎「す、すみませんっ! 寝てしまって」
凪咲「いえ、良かったら、降りてきてくださいね」
時崎「はい! あっ、な、七夏ちゃんは?」
凪咲「ごめんなさい。七夏は先に頂くって・・・」
時崎「そ、そう・・・ですか」

夕食を手短に頂いて、部屋に戻る。今日は、七夏ちゃんと会わない方が良いのかも知れない。だけど、いつまでもこのままではダメだ。明日は、七夏ちゃんとお話しが出来るように努めなければ!
机で長い時間うた
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